1巻
地球がわが家の自由な浮浪者3人組と、ひょんなことから転落人生真っただ中となったギャルのカルテットが繰り広げる、近未来サイバーパンクおとぎ草子。 <p> 自称、町内宇宙パトロールなので何者にも縛られない。違法行為をあっけらかんとやってのけるが、決して人の道から外れすぎることはしない。そんな彼らの引き起こす、他人も世間も巻き込んだ大騒動。社会通念や常識から、遠く離れたむちゃくちゃな発想に基づく彼らのでたらめな妄想と行動は、終始読者の爆笑を誘う。 <p> 一方で、天気がいいから月にでも行こうと口にするや、瞬く間にロケットを作りあげてしまう彼らの行動力は、単純にギャグにとどまらない痛快さも感じさせる。実際にそのロケットが飛ぶか飛ばないかは問題ではない、と言わんばかりの粋な魅力がそこにある。 <p> ただ生きる。それだけでとにかく楽しそうな彼らのギリギリの暴走が、羽生生の硬質なのに生き生きとした線で描かれる。そこには理屈の中で生きることに窮屈さを感じているような人間が、ハッとする瞬間が隠されている。アクの強いユーモアに笑い転げた後に、ふとしみじみとしてしまうような、不思議な読後感。世界を満たす不条理を、当たり前のこととして平然と受け流す流浪の生活者たちの懐の深さが味わえる。 <p> 「で、ワガランナァーってどういう意味?」 <br> 答えは本編の中で。<div align="right">(横山雅啓)</div>