爆笑問題とおおひなたごうのコラボレーション、というよりはむしろ、爆笑問題をマテリアルとしたおおひなたごうのギャグ漫画。爆笑問題の漫画だから「バクマン」。そのまんまなので、実にツッコミを入れやすいタイトルである。 <p> 2002年現在、太田光と田中裕二の凸凹コンビ、爆笑問題のキャッチーかつマニアックなイメージは、テレビやラジオを通じてすっかりお茶の間に定着したといえるだろう。この、すでに幅広い層に浸透しているキャラクターイメージを損なわずに、巧みに増幅させるおおひなたのキャラいじりは見事としか言いようがない。本書の中でも特に「太田のしゅみ・田中のしゅみ」は、太田の真顔でふざけたことを口にするボケの感じや、田中の身振りや表情が的確に再現にされており、爆笑もの。2人の趣味は何か提示するところから展開されるネタの流れの中で、ボケとツッコミというそれぞれの役割をきちんと引き立たせる、おおひなたの粋な演出がまたすばらしい。 <p> お笑いの大きな魅力のひとつに、どこまで本気でどこまで冗談かわからない掛け合いの生み出すきわどいスピード感があるだろう。出だしで、実録もの?と思わせておいて、どんどんテンポよく暴走する本書にはその魅力が詰まっている。一連の「バクマン」以外に「爆笑問題・バンド日記」や、太田光原作のSF怪作「夢」の漫画版なども収録されており、2つの異なるお笑いの親和性のある接近遭遇を楽しめる。(横山雅啓)