こちら人情民生課

秋本治

3.10

460

既刊1巻

『こちら人情民生課(1)』巻の書影
うにたべたいさんが読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.10

2件の評価

4.0

1巻まで読みました

秋本治の短編集。
5編の短編が収録されていますが、どの作品も完成度が高くリリーダビリティーに優れています。

収録作は以下の5作。

・こちら人情民生課
強面のヤクザが労働に憧れて、役所の民生課に就職する話。
対応は無茶苦茶だけど、名物職員としてやっていけそうなところを乱暴者が現れて、懲らしめたところで正体がバレるという、お約束な展開です。
お約束展開が水戸黄門的にハマっていて、爽快感のある作品だと思います。

・日本一の世直し男
テキ屋の2人組が、日本の行く末を案じて自衛隊に入り、日本の改革を目指すという話。
こちらも無茶苦茶やってクビになるという、いい意味でお約束展開となっています。
銃器や戦車の描写が秀逸です。そちらがメインではないので、銃や戦車の解説は入らないのですが、取材の元に根拠のあるモデルが描かれているんだろうなぁという気がします。

・こちら交機の本田 赤のZ追跡中!よろしく!
こち亀に出てくる、バイクに乗ると性格が変わる白バイ隊員の本田が主役のスピンオフ短編。両さんは出てこないです。
ギャグといえばギャグですが、展開はシリアスで、白バイ隊員による逮捕劇となっています。
ひき逃げを隠蔽するため平気で人をコンクリートで固めようとするヤクザの親分が、漫画好きでおちゃめという設定が、秋本治らしいといえばそうなのですが、もうちょっと極悪だと良いのにと思いました。

・ライブ
田舎から歌手を目指して上京した青年と、同じ郷里から上京し活躍中のボクサーが偶然出会い、挫折しながらも励まし合って戦い続ける話。
終わった後の話は読者の想像に任せる形になっていますが、成功することを暗示させる終わらせ方となっているところが良いと思います。
努力は実る、その頑張りは誰かが見てくれるという希望を持たせられるいい作品だと感じました。

・デスマッチ
感動作です。本書収録作中では一番好きな作品です。
捕まえても何度も逃走する犯人と、それを追い続ける老刑事の話。
その日も護送中に取り逃がしてしまい、取っ組み合いをしながら2人は滝から落ちてしまう。そして、気がつけばある田舎の村にいた。
犯人の男は、刑事の気を失っているのをいいことに逃げ出そうとするが、村人に刑事と間違われてしまう。
よくある展開といえばそうなのですが、そのお約束がとても効果的に効いている作品だと思います。
事情を知ったあとでラストを見送る地元駐在の敬礼がすごく印象的です。

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