チ。―地球の運動について―

魚豊

3.89

33806

発刊:2020.12.11 〜

完結・全8巻

『チ。―地球の運動について―(1)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(2)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(3)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(4)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(5)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(6)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(7)』巻の書影
『チ。―地球の運動について―(8)』巻の書影
きよきよさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.89

1280件の評価

4.5

8巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

面白い。
天体のことは理解できない部分があるし言葉の言い回しが複雑で、ああ言えばこう言う感じがある。哲学味があって好み。
特に「文字は奇磧ですよ」というシーンが一番好き

主人公が変わるのに自然に読めるところもすごいんじゃないかと思う。

本当に歴史にあったことで決して誇張ではないはずだから余計惹き込まれる
言論の自由があるというのは本当に素晴らしく 先人の努力により勝ち取ってきたんだと思わされる

3巻が好き
バデー二の地動説復元トリックとノヴァクvsヨレンタの構図はすごいと思った。

ストーリーの流れ
1巻
12歳の少年が地動説研究者と出会い心動かされる、地動説研究がバレて異端とされ捕まる。自分に嘘をつけず自死を選ぶ。(研究書類は後世に繋ぐ)

2巻
主人公交代。
この世は汚れている(神様がそう作った)、希望は天国にしかない、という思想で天国行くことだけを祈っていて生きていたが、異端者の言葉で人生を変える。
「人類は正面から向き合うべきだ。麗しの天国なぞないのかもしれないということに」「この地球は天国なんかよりも美しいということに」
「歴史が君を必要としたからだ。頼む」
「託してる」
少年から引き継がれた書類をみつけバデー二(異端思想の修道士)へ会いに行く。

※好きなシーン
天国よりこの世を重視した人達なんて地獄以下だ、言うことを聞いちゃだめだ
だけど俺の人生でたった2人、彼らだけが
死ぬその瞬間満足そうな顔をしてた

3巻
・ヨレンタに出会う。女性だから研究会に参加できないなど迫害を受けている
・ピャスト伯と会う。
「確かにピャスト伯は誰よりも天動説を重んじてる。でもきっとそれよりも真理を重んじてる。」
・金星が満ちていた 最後に真理にたどりつく
・文字は奇蹟ですよ。
本当に文字はすごいんです。
アレが使えると、時間と場所を超越できる。 2000年前の情報に涙が流れることも、1000年前の噂話で笑うこともある。
私達の人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められてる。
だけど、文字を読む時だけは、かつていた偉人達が私に向かって口を開いてくれる。
その一瞬このセカイから抜け出せる。
文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。
そんなの まるで、奇蹟じゃないですか。

4巻
・バデー二が地動説を完成させる
・異端審問官であるノヴァクがヨレンタの父親と発覚
・研究がばれて捕まる

5巻
・異端はなぜ存在する?→迂闊にも憧れて求めてしまったからだとおもいます。自由を。
・オクジー、バデー二、処刑。
・ノヴァクを失墜させたい司教の策略で、ヨレンタが処刑されそうになる(若い審問官が逃がす)
ノヴァクにはヨレンタが火炙りにされたことにする
・バデー二の仕掛けが発動し地動説の文章が復元する →この仕掛けは見事!!

6巻
・また登場人物が変わり、異端解放戦線、と一人の女の子(ドゥラカ)が出てくる。
・組織長がヨレンタと判明

7巻
・活版印刷を用いて地動説の本をばらまこうと動く
・ヨレンタ「こういうものを出版できるようにするのが私の夢だから」→組織が崩壊したように見せかけるために自爆
「たとえ僅かでも自爆することであの本が生きる可能性が増えるなら、そちらを選ぶ」

ヨレンタの仇をとろうとするノヴァクがヨレンタを殺してしまう図はすごかった・・
悲しい・・

・組織内の裏切りで騎士団とたたかう
・ドゥラカを逃がす

4.8

3巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

地動説と天動説の宗教論争を元に、フィクションを交えて再構成された壮大な歴史もの。科学や哲学等の知識、またそれらに関連する人物は実在のものが使われていますが、地動説を異端として弾圧する「C教」はモデルとなった宗教よりずっと過激で抑圧的な思想となっています。天動説と魔女裁判が合わさったようなイメージですね。真理を追い求める一部の者たちが、犠牲を出しながらも研究結果を次世代へ託していく非常に知的好奇心が刺激される秀逸な作品です。
ロマン溢れる科学描写も素晴らしいのですが、この作品の凄いところはそれに神や死といった宗教的な概念も絡めている点にあります。人が住まう地上は混沌としているが、その試練を乗り越えたとき、人は美しい天国へ行ける。――でも地が天と一緒に動くなら、世界がもっと単純な理屈で出来ているならば――地上もまた美しく、神に愛されて作られたものだと証明できる。神に愛されているならば、世界に希望が持てる。地動説という科学が、魂の救済にも繋がっているんですよね。
また既成概念を打破する、何も疑問を挟む余地がなかった「普通であり、当たり前のこと」を疑うという姿勢は、現実においても大いに参考になるものだと思います。
多少難しい内容もありますが、細かいところは読み飛ばしても充分理解できますし、漫画関連の賞レースに多数ノミネートされるなど、各所で注目を集めている作品なので一度読んでみたらいかがでしょうか。オススメです。

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