この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.06

864件の評価

5.0

3巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

私みたいに青春に何かを置き去りにしてきた人間にとって市川と山田は、この作品は眩しすぎる。

それでも目が離せないのはふたりが「あの頃の僕ら」だから。

「僕が今最も殺したい女だ」で始まった当初、いつもの桜井のりおワールド全開な物語を想像していました。

まさしくその世界をこそ好きになった訳なのでむしろ望むところでしたが、1巻で鼻血まみれの山田にシンクロして涙を流しながら「僕は山田が好きなんだ」と自分の恋心を市川が自覚した時、これはガチ恋だ、と心が震えました。

桜井先生は本気で真正面から真っ当に初恋を描こうとしてるんだと遅まきながら理解して魂が震えました。

山田が市川のことを意識し始めたのは個人的には山田似のヒロインのキャラデザラフを押しつけた辺りで、なんか気になるがハッキリと好感に変わったのは2巻の「山田でいいよ」辺りだと思っているのですが、そんな詮索は野暮かもしれませんね。

油断してると即キュン死します。

ふたりの醸すあの初々しい空気感にアテられるだけでベッドでゴロゴロ身悶えしてしまいます。

山田、市川間を迸る熱いパトスに思わず吠えて野山を駆けずり回りたい衝動に駆られましたよ。

30話の市川の「好き」にアテられて思わず漏れ出た山田の「好き」全開のアップイラストは必見です。

この瞬間、セピア色に色褪せた「あの頃」がカラフルに色づくのを感じました。

置物のようだった私の心臓がトクントクンと動き出す音が聞こえました。

青春を追体験しているんじゃない。

今もまだ青春真っ盛りなんだとそう思える勇気が湧いてきました。

今、恋がしたくてたまりません。

日々の潤いに、癒しに、「あの頃 」の救済に、思い出のアルバムのような漫画をどうぞ。

名作

5.0

このレビューにはネタバレを含みます。

のりお先生がまともな漫画を書いている…!と言うと語弊がありますが、名作変態ギャグ漫画みつどもえの次に売ってくる一手がこれとは…驚かれたファンの方も多いのではないでしょうか。それほどピュアで力強い豪速球です。後書きによるとこの作品は距離・変化・気づきがテーマだそうです。その言葉通り京太郎が山田のことを好感度マイナス状態から徐々に好きになっていく過程がじっくりとそれでいてテンポ良く描かれています。またラブコメ主人公にありがちな主体性ゼロの徹底的な無個性or全方位型のスケべとは一線を画した京太郎のキャラクターは目が離せない危うさでヤバイ。最初は狂気という意味でのヤバイと思っていたけど巻を重ねていくほど別のヤバイ側面も見えてきて可愛く感じられてきます。また後書きに「初恋にはタイムラグがある」という至言があるのですがこれを体現するかの如く様々な仕掛けや伏線が張り巡らされててヤバイです。後から大事なことに気づく…まるでミステリーのようだ。なんとなく読んでると見落としてしまいそうな…あの時の感情はひょっとして恋というやつだったのか?という。山田も京太郎も感情の機微や仕草がかなり些細な部分まで描かれているので一読だけでは私の読解力が足りず所々で「え?どういうこと?」と理解が追いつかない部分があるのですが(それでも面白く読めてしまうところがまたすごい)、twitter等で熱心なファンの方の一コマ一コマ細部に至る考察・解説を見て「そういう事だったのか〜!」と唸らされることが多々あります。謎掛けにたいする答え合わせの楽しさと、それになんだか市川が味わった感情のタイムラグを追体験してるような気持ちになれますwこれはちょっと他の漫画では得難い経験でした。読者と先生のガチ頭脳戦も楽しみの一つです。先生と考察班の方々に改めてお礼申し上げます。先生のTwitterでは僕ヤバの短編エピソード通称ツイヤバもアップされることがあるので、そちらをチェックされると前述の頭脳戦も含め作品をより深く楽しめること請け合いではないかと思います。

名作の気配

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