ロジカとラッカセイ

紀ノ目

3.67

1353

発刊:2018.08.09 〜

完結・全3巻

『ロジカとラッカセイ(1)』巻の書影
『ロジカとラッカセイ(2)』巻の書影
『ロジカとラッカセイ(3)』巻の書影
鈴木さん、他1人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.67

14件の評価

5.0

少年とゆるキャラが文明が終わったあとの地球でダラダラするシュールギャグ、みたいな感じの内容。SFと言っていいのかな。
マンガで、表象と意味のギャップみたいな表現ってありますよね。
例えばカイジって読む前は「こんな板みたいなキャラクターに深い内面なんてあるわけがない」って思うんだけど、実際読むと人間の内側のドロドロしたものとか精神的な駆け引きの濃密さにグッと引き込まれたり。まああれは意図してそうしてるのか測りにくいとこがあるけど、こういう手法って例えば阿部共実は意識的にやっていて名手だったり。
これは映画や音楽だと不得手な表現で、マンガの武器のひとつだったりする。
で、これが『ロジカとラッカセイ』ではいろんなレベルで巧妙に組み込まれている。
主人公のひとりのラッカセイ…これゆるキャラのほうがこの名前じゃなくて人間の少年の名前がラッカセイなんだけど。そんな名前ないだろって思って読むとその意味するところに圧倒されたり。こういうトボけたネーミングセンスが、実際の意味は…みたいなのは他にも出てくる。
木を触ってる人がいて、「何してんの~?」と聞くと「スイッチを探してるんです この木はハズレでした」と返って来る。ラッカセイくんは(相変わらず訳分かんねーこと言ってんな)と思うのだけど、これ自体はそういう冗談なのかと思ったら、あとに実際に木のスイッチを押している人が出てきたりとか。
表情の読めないゆるキャラみたいな妙な登場人物が多いけど、その内面の実に人間くさい感情であったりだとか。
ナンセンスな笑いと思っていると、その裏からちらりと世界の秘密が覗いている。その秘密はいつも少し悲しくて、でもそれが大袈裟さも一切なくただ置かれているだけという温度感が、作品独特の空気を生んでいる。
その置かれている悲しさに気づいて触れるたび、少しづつこの世界や登場人物たちが愛おしくなっていく。

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