この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.92

217件の評価

5.0

6巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

いま追ってる漫画のなかでいちばん好き。

ストーリーに大きな起伏はなく、言ってしまえば本当にシンプルなひとりの女の子の中学生活。
それでも、超作画の中にぎゅっと閉じ込められた「成長中の中学生」の味が、最高。
嬉しい!悲しい、楽しい…!を全力で表現する明日ちゃんと、その一瞬を全力且つビビッドに切り取る博先生の画力にとにかく脱帽です。
(コミスペさんのインタビュー拝読いたしましたが、博先生はアニメーターを目指されていた過去があるとのことで大変納得。ツイッターにもよく動く明日ちゃんを載せられているのはそういうことからなのですね。)

この作品には「モブ」なんて1人もいない。明日ちゃんとその友達ひとりひとりに対して髪、まつ毛、筋肉の形や指・関節の向き、布の素材の違いや流れの表現に真摯に向き合う姿は、執念さえ感じました。
こと、博先生が絶対に絶対に「明日小路」という女の子のことが大好きで大好きで大好きで、かわいく描きたくてしょうがないんじゃないかな、みたいな気持ちが、絵の全てから伝わってきます。

こんな描きかたをされてしまえば、わたしは明日ちゃんとそのクラスのみんなを、
好きになる以外を選べない。

赤ちゃんみたいにいろんな初めてに触れて、一瞬の全てをキラキラに生きる明日ちゃんが、とにかく愛おしい。
「この子が素敵な友達に恵まれて、楽しく学校生活を送ってる姿を見られるのがとにかく嬉しい!」とか、
「あぁこの子、この話の中でどんどん成長してるんだなぁ、大人になってしまうんだなぁ、こんなにかわいいからこのままでいてほしいなぁ」とか、
それはまるで、子離れできない母親のような寂しさを感じてしまうくらいに。


そして明日小路は、かわいいだけではない。
妹の花緒が言うように、かっこいいんです。
誰もが大人になる途中でなくしてしまう素直さ、誰にでも分け隔てなく接することができる優しさ、愛にまっすぐである強さ、過疎地域で育ったが故の純粋無垢さ。
特に明日ちゃんの純粋さが友だちの傷をすくいあげる6巻は、涙なしには読めませんでした。


これから「明日小路」はどんな女性になるのだろう。そんなことを読みながら時々考えます。
どうか出来るだけ不要且つ理不尽な不幸は訪れず、暖かい人々にめいっぱい愛され、時に必要な困難や壁は周りの人の助けを借りて乗り越えてほしい。
このまま、絵に描いたような「天真爛漫」を失わない女性になってほしい。
そしてその過程を、これからも私はきっと追い続けずにいられないと思います。
(…この漫画を通して初めて、「母性」という感覚を理解しました。笑)


明日小路、かわいさカッコよさ強さ優しさ全部持った令和最強ヒロイン。
博先生、漫画家になる道を選んで、この子を産んでくれてありがとうございます。
兎にも角にも、大好き。ずっとずっと応援しています。



(余談①「お父さん」の存在がきちんと描かれているのもまたいいです。
こういう女子高の学園モノって、「男性」の存在がないがしろにされがち、女の子たちはまるで妖精さんから生まれたファンタジーの住人^_^みたいにされがちなので、
5巻でお父さんとお母さんの仲睦まじいシーンがきちんと描かれていたのも本当に良かったな。
あの瞬間だけで、「明日小路と明日花緒という女の子は、ふたりが愛しあったゆえに生まれた、きちんとした人間なんだ」と、一気に輪郭がはっきりとした気がした。)


(余談②、37話プリクラのイラストは初見時マジで震えた。
博先生の描く明日ちゃんのカラー絵といえば、コントラスト浅めのじゅんわりとした水彩カラーが印象的ですが、プリクラのカラーだけはぱっきり、マットなツヤのある、どちらかといえばデジタル塗りっぽい雰囲気。これ完全に「プリクラの質感」に寄せてるんですよね…?!
そしてこの4人のポーズ、「プリクラ」とか「写真」に慣れ親しんでる人、そうでない人のポーズの差の細かさよ…。
とにかくこのたった一枚に凝縮された博先生のこだわりに圧倒されたのを鮮明に覚えています。)


(余談③、博先生の描かれる世界観、京都アニメーションの山田尚子監督のそれに近いのもあって大好き。
足の描写に力を入れているところとか、「女の子の世界」の作り込み具合とか…言葉にできないけど、めちゃくちゃ近いものを感じます。
以前博先生のpixivでけいおん!の唯と澪を描かれてるのを見つけたことがあるので、山田監督作お好きなのではないかな、、と勝手に推測中。
明日ちゃんのセーラー服がアニメになる時は、山田尚子監督の手でフィルムになってほしい、京アニは事件もあっていますぐは難しいけど、できるならそれをずっと待っていたい…という欲望を三ヶ月に一度くらいツイートしています。笑)

5.0

6巻まで読みました

ストーリーは所謂“日常系”で、ずっと田舎で同年代の友達が全くいない環境で育ってきた主人公・明日小路が、中学進学を機に母の母校である少し都会のお嬢様学校を受験し、学友と親交を深めていくというものです。
小路は少し幼く感じるほどの無垢さと、表情豊かで感情を全身で表現してしまうような可憐さがあり、少女の魅力を存分に積め込んだようなキャラクターです。この小路の溌剌とした魅力にクラスメイトたちも心を開いていき、いつしか彼女は学園の中心になっていきます。また作中には学友だけでなく、小路の家族も頻繁に登場するのですが、これがまた愛に溢れたキャラクターばかり。特に小路の妹の花緒はあまりの可愛さに登場する度、悶絶しています。この作品のあまりにも優しく美しい世界観には、ついつい憧憬の念を抱いてしまいますね。本当にほっこりする癒し系漫画です。
ここまでストーリーの魅力について語りましたが、このような純真な少女たちのちょっと百合風味な日常系漫画は比較的珍しくないので、他のありふれた作品との差をそれほど感じないかもしれません。ただこの『明日ちゃんのセーラー服』は、とんでもなく絵のクオリティが高い!漫画で「絵のクオリティ」に触れた場合、大抵は緻密さや描き込みの多さについて述べられますが、この作品はむしろ大胆ですっきりとした印象を受けます。優れている点は“演出”や“技法”の部分ですね。主人公の小路はアイドルが大好きで、作中にはダンスを踊ったり、ポーズを決めたりするシーンが多々あるのですが、あえてコマ割をせずに1ページまたは見開き丸々使って、体育の教本のように1つ1つの動きを細かく描写したり、逆にグラビアのようなイラスト一枚絵をドーンと載せたり、時には要のシーンだけカラーにしてみたりと漫画ではあまりやられない表現をバンバン使っています。これは作者の博先生が元々アニメーターを目指されていたからこそ思い付いた手法かもしれませんね。加えて、連載の媒体がページ制限のないWEBであること、また展開の少ない日常系漫画であることとも非常に相性の良く、素晴らしいアイディアだなあと思います。絵のタッチも髪1本1本の流れが分かるほど、細かな線で描写した絵があると思ったら、ベタ塗りで光と影のコントラストだけを表現した絵などコロコロと変化しますし、構図も俯瞰絵や子どもの低い目線から見上げるようなものなど、とにかくいろいろな発見があり、素人目にも楽しくなる作品ですね。
ぜひ、いろいろな人にオススメしたい漫画です。

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