虹野まどかは冴えない女子高生。友だちはゲームだけ。――けれど、彼女はゲーム作りの天才だった!学校にも家にも居場所がないまどかだったが、ある日、生まれて初めて作ったゲーム「カラフル」がSNSで記録的な話題を呼び、世界中でプレイされることになる。更に、これがきっかけで、その才能を見出され、大手ゲーム会社「+ギア」に所属することになり――!?これは、ひとりぼっちの少女が、数億人を夢中にさせ、ゲーム業界を一新する物語!
ゲーム好きは読んで損はない作品。というか名作の気配がします。 物語は、ゲーム好き女子高生のまどかが自作フリゲをSNSにアップしたところ、売れっ子ゲームデザイナーの目に止まってスカウトされる所から始まります。 確かに、実際のゲーム作りの現場はこんなに甘くないだろうけど、そこはそれ。それでもわくわくする展開の連続です。 1巻の見どころは、非凡な才能が集まるゲーム会社の中で、まどかが自分の持つゲームデザインセンスを無意識に周囲に垂れ流すところ。 勇者が世界を救うという、今や王道RPGといわれるDQやFFを世に送り出した坂口博信さんや堀井雄二さん。撃って戦うのではなく隠れてやり過ごすという全く新しいジャンルを生み出した小島秀夫さん。彼らは当時のゲーム業界に革命をもたらしました。本作では、まどかがこの2020年代に新たな革命をもたらそうとしています。 また本作のポイントは、作者さんが元ゲーム会社勤務とあって、ゲーム作りの現場ってこんななのかあと想像しながら読めるところです。これも大きい。 あと面白かった点は、各話のつなぎ部分で登場キャラクターの好きなゲームが紹介されるのですが、それだけである程度そのキャラクターの性格がわかる部分。 ゲーマーなら「なるほどね〜」と頷けるかと。 全体的に作画がスッキリしていて読みやすいし、そのおかげで絵的にも浮いてて世間ズレしているまどかの異才・天才感が際立って良いと思います。 次巻が楽しみな作品!!
by せーふぁ (1046)医者と患者の恋を繋いだのは、一匹の猫。猫(キミ)がいなきゃ、秘めるだけだった恋。「“病人”を診ずに“病気”を診よ」がモットーの医師、四月一日正直。そして病名を告知されたばかりの患者・吉祥てら。制限のある恋を繋いだのは、一匹の猫だった―― ちょっと切なくて、きっと愛しくて、かなり不器用な…… モフモフ・ラヴ・ストーリィ。
難病恋愛ものというベタな題材に、マンガの魔法をありったけかける。 コマを超えてページ全体の上から漫符や擬音が降りかけられる。 コマの接続で空間的距離を乗り越える。 同一空間での異なる時間軸の出来事が同時に展開する。 キャラクター・コマ・吹き出しの配置が連動する。 とにかくトリッキーな表現技法のオンパレードで、画面構成は実にアバンギャルド。 ただそれは実はかなり目的化されている。 時間を描く、時間を描き直すということに向けて。 結局、映画や音楽というものに比べて、マンガ固有のアドバンテージは、時間だけは好きにできるということなのではないかと思う。 物理運動の制約を離れて、内面の、感情の時間で物語を動かす。 それが目指すところは明白だ。描きたいことはひとつだ。 恋していた時間は、永遠なんだ。 なにかこの作品の良さを文章で表現することって無謀な気もしている。 マンガだけに表現し得るものを追求した作品だから。 マンガへのラブレター。 "その夜は、 引く波に立つ足の裏の、 砂に埋もれる感触みたいに、 上級者向けのゲレンデの、 コブの向こうの景色のように、 先生の、声の余韻が一晩中、 鳴り止まなくて眠れなかった。"
by 鈴木 (34)