大島弓子

サンコミックス版にて
表題作が素晴らしい

表題作が凄すぎる。認知が歪み気味な女友達の世話をする(友達に対して母性が芽生えてしまう)女と、それに巻き込まれる彼氏。角松天くんが一歩引いた倫理観を持っていることで「友達をお世話をする」ことに対する批判的な目線もあって良い。

どれも短編ながら登場人物の心情がひしひしと伝わる巧みな造形、構成が素晴らしい。
「ロストハウス」表題作。最終ページ、最低限の線で朝焼けの街並みを表現するのヤバすぎ。
「8月に生まれる子供」自らの意思ではどうにもならない不可逆な変容。
怖過ぎる。

後半にいくほどよい。「ねのくに」など、凄みがある。

「8月に生まれる子供」という短編が。私が今まで読んだ中で最もやるせなく恐ろしい短編漫画です。そこらのホラーは足元にも及ばない、現実と地続きの恐ろしさ。

ほんわかした絵柄で時にハートフルに、時に斬れ味鋭く、時にエモーショナルに…
こちらの感情を揺さぶってくる作家さん。
どの作品も粒ぞろいですが、表題作が特に好き。