詩野うら

『有害無罪玩具』に続く、詩野うら2作目の読切集。
表題作「偽史山人伝」ほか6作、うち描き下ろし1作。
奇妙奇天烈で心がザワつくような作風は前作通り。
前作よりも"全ページ全行に挿絵が入った奇想小説"感(伝われ)が強くて、やはり腰を据えてじっくり読むことをおすすめ。

『有害無罪玩具』よりもフォークロアチックなSFで、表題作「偽史山人伝」からそれに続く「あとがき」、さらに書き下ろし「存在集」と後半が凄かった。
前半は前半で「人間のように立つ」のちょっとウェットな雰囲気や「現代路上神話」の頭がおかしくなってきそうな(貶してない)ザ・"奇想"感も病みつきになります。
そしてラストの「巻末あとがき」。ここまで見逃さないで読んでください。

表題作ほか、「虚数時間の遊び」「金魚の人魚は人魚の金魚」「盆に復水 盆に帰らず」の3作を収録。
説明が非常に難しい作品です。
「これこれをしたらこうなるだろう」といったような仮説、思考実験の組み立ての果てに待つカタルシス。
絵柄もそうですが、この独特な読み味は読んでみてください、としか言えないですね。
あえて表現すると、万華鏡を覗いているような感覚。
性質上気軽に読んで楽しめる作品ではないですので、ぜひ腰を据えてじっくり読んでみてください。

哲学と思考実験、5億年ボタンが好きならきっとはまる。

メモ．

ややこしくて頭痛くなった…好き…