安西水丸作作のストーリー漫画。1985年の1月から1年間「月刊カドカワ」で連作された作品群。 表題作「黄色チューリップ」は、初冬の青山通りの花屋の店頭で見たあざやかな黄色いチューリップから思いあたった。きーんとつめたい冬のよるを、黄色いチューリップで描けたらいいなあと思った。黄色という色はとてもふしぎな色だと思う。赤や青にくらべ、黄色には、どこか不良じみた魅力があった。なにか秘密めいたことを、そっと教えてくれるようなところがあった。あの明るさが、どこか病んでいるようにも思えた。(あとがきより)
比類なき個性で日本のイラストレーション界をリードし、小説家、絵本作家、漫画家、エッセイスト、翻訳家としても多くの作品を残した異才にして多才の人・安西水丸さんが亡くなって9年が経ちます。いまだに人気は衰えず、2021~22年に世田谷文学館他で開催された展覧会は、コロナ禍にもかかわらず連日行列ができるほどで、没後に刊行された著書は10冊を超えました。その水丸さんは、晩年、小説現代に読み切り漫画を連載していましたが、急逝されたためシリーズは4本で中断してしまいました。作品は、いまだ伝説となっている水丸さんの漫画デビュー作『青の時代』の流れを汲み、抒情的で独特のエロティシズムに溢れています。この4本の読み切り漫画に、水丸さんと関係が深かった作家、漫画家、イラストレーターの方々、村上春樹さん、角田光代さん、平松洋子さん、柴門ふみさん、木内達朗さん、信濃八太郎さんの6人に、彼らだけが知る水丸さんの魅力を語ってもらったエッセイを合体させました。ごくごくシンプルなのに誰にも似ていない。そんな安西水丸さんの魅力を再確認できる一冊です。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。