「…でも、秘孔ごっこは危ないから、やっちゃダメですよ。大人なんだから」。(「まえがき」より) そう言われても、ついつい試したくなるほど、作り手の盛り上がりが伝わってくる北斗の拳研究書。『北斗の拳』のストーリーをひも解いた「北斗正史」、登場人物を技、スピード、パワー、ルックス、カリスマのレーダーチャートで表した「拳豪列伝」(女性は「人物列伝」)で、すっかり北斗の拳の世界に取り込まれる。ほかにも「あっけないヤツ」「頭悪そう」といったサブキャラランキング「男気番付」、実現されなかった夢の顔合わせ「北斗十番勝負」など盛りだくさんの企画に、佐竹雅昭、BOOMER、の強力な応援団が華を添える。 なかでも強烈なのが「北斗の秘密」。「ケンシロウは何着服を持っていたの?」「悪党ってみんなデカくて頭悪いの?」といったミもフタもない質問に対して2ページを割き、真剣とも悪ふざけともつかない回答を返している。「ケンシロウは空も飛べるの?」「飛べます」には絶句。また、「秘孔って全部でいくつあるの?」には、主だった秘孔の図解と効果がまとめられている。もちろん「※危険ですので、よい子及び良識ある大人は北斗神拳伝承者のマネはやめましょう!!」と注意も忘れない。 表紙は原哲夫自らが描き下ろし、題字は正道会館の石井館長。1970年前後生まれのリアルタイム世代にはひたすら懐かしく、若い読者には当時の熱気が伝わるに違いない。(大脇太一)