『足摺り水族館』の書影

足摺り水族館

3.68

1549

発刊: 2018.07.31 ~

完結・全1巻

新刊通知

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panpanya 1冊目の単行本です。 ・単行本「足摺り水族館」のあらまし 単行本「足摺り水族館」は、2010年と2011年にそれぞれ私家版として発行された「足摺り水族館」及び「ASOVACE」という本をもとに、一般流通向けに再編集したものです。「ASOVACE」はpanpanyaがそれまでに描いた短編漫画作品を一冊に纏めたもので、総ページ数300ページ以上を藁半紙にコピー、和綴じで自家製本されています。また私家版「足摺り水族館」は「一冊の本をして水族館感を体現させる」というコンセプトのもと制作され、これもひとつひとつ表紙を特殊加工し、手作りしています。 今回作品を纏め直すにあたり、他の漫画短編作品と性格の異なる「足摺り水族館」をどう扱い、作品集に統合するかという点で特に難儀しました。最終的に「足摺り水族館」を核とし、その一冊の作品の中に各短編を織り込むという考え方でpanpanya自ら設計編集することで「足摺り水族館」の意趣を損なわず統合し作品集とすることに成功しています。 今回発行される単行本版「足摺り水族館」では活動初期からのpanpanyaの漫画作品を集成するとともに、一冊の本を固有の作品として製本し発行するpanpanyaの活動を、より広く手軽な量産品の形態に落とし込んで紹介するものです。 ・収録作品 足摺り水族館 / 完全商店街 / すごろく / 新しい世界 / イノセントワールド / 二〇一二年四月一七日の夢 / 足摺り水族館 / 冥途 / スプートニク / 無題 / マシン時代の動物たち / 足摺り水族館 / 君の魚 / エンディングテーマ

・前置き 足摺り水族館? 何だいやに怖いタイトルだな。 いやしかし表紙の絵は妙に可愛いぞ? 背景の乱雑で退廃的な空気感もアンマッチしているようでマッチしているな ん? 裏表紙のは写真か? 夢を漫画にしたもの? いや、紀行なのか?  おい何だ帯の妙にリアルな魚介類は 何だ、何だよ、何なんだ一体!? この漫画は何なんだあああああああああああああああああああああああ!!!??? …………気づいたら家の本棚に並んでたわ ということで以下感想 ・完全商店街 あらすじ:お母さんからおつかいを頼まれた女の子。 メモの通り買い物をして、さて最後の1つだと思ったら、そこには何語なのかよくわからない文字が。これどう買えばいいんだい? 漂う異世界感。なんだか一本の長編アニメ映画で見てみたい おつかい女の子かわいい。百貨店への強気の姿勢は何なんだ。 ・すごろく 一発ネタ。博士の吹き出しとか急にリアルになる手とか自由度高い要素はあるけど結構基本的な内容。 ・新しい世界 あらすじ:自由研究の為博物館に行くことにした女の子 たどり着いたのは「新物館」という最新のものを展示している博物館だった 怪しさプンプンだけど、女の子は最新技術(本当かね?)の音声ガイダンスに従って、館内を見て回るのだった 行ってみたいけど実際1人で行ったら怖いかも? 色々と堂々巡りな新しさ。いや全部新しいんだけどね。 ・イノセントワールド あらすじ:修学旅行先の京都で1人はぐれてしまった女の子。 最終工程である京都タワーで待っていようと向かうのだが…… ぼやけた視界が面白い。全編通して夢を歩いている感覚があるけど、これは特に夢の曖昧さを感じて心地よい ・二〇一二年四月一七日の夢 あらすじ:ネットで調べて出てきた「いろんなものが見れるお得な名所」にやってきた女の子。 しかしそこは独立した堤防のような場所で…… これは作者の夢なのかな? 何にしても、行きたいようなそうでもないような…… ・冥途 あらすじ:妹の引っ越しを手伝う為フランスに来た女の子。途中で散歩に出た女の子は、何気なく空を飛ぶ飛行船を追いかける。少しずつ風景がおかしくなっていく中、彼女はそれに気付かず歩き続ける。ふと見上げると、飛行船が動きを止めていた。絵のように不動の飛行船。辺りを見ると、奇怪な者達がうようよ闊歩していたのだった。 幻想的でありながら、何だか哲学的な内容でもある。 結局何を見たのだか、何故そこにいけたのか。謎は謎のまま。ただワクワクが胸に残る。 ・スプートニク 一発ネタ2本目。ほどよく馬鹿馬鹿しい。 ・無題 男の子が不思議な生物のいる闇の中を歩くだけの数ページ。 またこりゃ楽しそうな閉鎖的空間。 逃げ先に良い良い。 ・マシン時代の動物たち あらすじ書くと結構なネタバレになりそうなので割愛。 今回一番のハートフルストーリー。 いや、ハートフルにみせかけストーリー? ん? ハートフルってなんだっけ? …………? ・君の魚 あらすじ:足摺り水族館の従業員レオナルドと女の子は、環境悪化の影響で汚濁した近所の川では展示する魚を捕れない為、まだ清流が残っている多摩川上流へ向かうことにした。 何でか二足歩行で言葉を喋る犬レオナルド。どこにでも出てくる女の子。そして不思議な魚に退廃的な背景。結局最後は小さく近場でまとまるこの感じ。夢と現実の狭間だから面白いのかもしれない。 ・足摺り水族館 あらすじ:親戚から貰った本の中に挟まっていた「水族館」の入場券。裏側に書かれた道順を頼りに水族館へと向かう。 実はあらすじで完結してる。本当にそれだけの話。日常から得たものきっかけで不思議な場所へと迷い込む 「不思議の国のアリス」システムはやっぱりわくわくが止まらない。 足摺に行ってみたくなった。 ・まとめ 全編通して幻想と人工の対比がむなしい気持ちにさせる。 こんな未来も面白い。でも悲しい意味でも未来的。だけどもなんだか羨ましい。とっても不思議な感覚に陥る。 何と言うか、自分もあの世界の住人になりたくなる。 漫画という媒体で出来る表現での遊びも見られたけど、これがもしアニメーションになったらどんな感じなのかなぁとか想像するのもまた楽しい。 もっともっとpanpanyaさんの世界に浸りたい。

by ヴァッハ (209)
『Cl 1 / 菜園モノクローム』の書影

Cl 1 / 菜園モノクローム

3.17

228

発刊: 2016.12.20 ~

既刊1巻

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漫画雑誌「1月と7月」連載作、全ページ2色で描かれた「Cl」1-5話に加え、水谷氏の最高傑作と言えるであろう読み切り作品「菜園モノクローム」を併録いたしました。水谷氏は台詞と台詞のあいだの「間」を上手く使い、無声映画のようにその場の空気感を描くことに非常に長けています。その強みが最大限生きる鉛筆描きにて執筆をお願いした作品群になります。

1月と7月は、出版社「1月と7月」が毎年「1月」と「7月」に出す漫画雑誌です。少しずつ親交を深めさせて頂いていた作家の皆様と大切に作りました。小さな本です。表紙絵: またよし漫画: 片山若子 / すえみつぢっか / トミイマサコ / のばら / panpanya / 水谷フーカ装丁: pajamadesign (多治見武昭・高田麻理) ・水谷フーカ「Cl6」・すえみつぢっか「廃墟エクスプローラー 3.彼の本能」・トミイマサコ「一月怪談」・のばら「ほんとうのきみ」・panpanya「1月か7月 第6回 7月」※基本的に読み切りとして読める作品です。

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