結婚で“奥さん”になり、出産で“お母さん”になった。名字も名前も失い、家庭を守ることがすべての彼女に、名前を思い出させてくれた眩しい少女。それは、娘の同級生―。そんな人妻の恋を描いた[リリー・マルガリーテとかすみ草]と、その娘から見た二人を描いた[ジプソフィラの儚い思惑]。厳格な女上司と新米OL、夜は攻守逆転する二人の日常を切り取った[after9]、冴えない喪女をプロデュースする優等生の思惑[一輪の薔薇がある風景]。ほか2作も含め、対照的な二人が惹かれ合い、誰にも言えない秘密を共有するまでを描いた、著者デビュー短編集。
とっても素直で、犬っぽいシロとそんな彼女に振り回されながらも、シロが可愛くてたまらない犬飼さんによる[犬飼さんちのシロ]&[うちのシロ知りませんか?]壁の薄いボロアパート、隣に引っ越してきたJKの二見さんがなんだか気になるスボラ系女子一さんによる[201・5号室]妹のふたばが可愛くて仕方がないかずは、そんな姉を鬱陶しく思いながらもまんざらでもないふたばの姉妹による[108の愛]などなど、ポップで、キュートな女の子の魅力を余すところなく描き出した由井ひな子の傑作同人誌を一冊にまとめたとってもラブリーな作品集です!!
少女たちが恋をし、愛した寄宿舎。そんな楽園での今が永遠に続けばいいと誰もが願いながらむ、少女で居続けることを時が、環境が、変わりゆくすべてが許さない。自らを双子と呼び合う姉妹のようなエイミーとフィオナ。本当の家族を知らない彼女たちにとって、お互いと寄宿舎が家族そのものだった。そんな彼女たちも、少女のままではいられない。彼女たちの選択、その先にあるものとは…。少女だけに許される美しさと儚さ、そこに内包された残酷さ、眩いほどの一瞬の輝きをひるのつき子が渾身の想いを込めて描き続けた同人誌[寄宿舎シリーズ]、その序章となる3話をまとめた作品です。
あかねが軽音サークル新歓コンパで出会ったぼっちな新入生・るり子。テキトーに音楽楽しんで、就職して恋愛して…なんて要領よく生きていこうと思ってたのに。ノラ猫みたいなるり子と一緒の時間が、いつの間にか大事になり過ぎていた。一線を越えるのも一瞬だった。だけど、テキトーな私に溺れて、るり子が音楽を忘れるのを見て。決意して…。“ルッコ”として成功した彼女を街中で見ることになった。アオイハルの苦いすれ違いとそれからを描いた「音楽なんてどうでもいい」を初めとして、高校時代の透明な空気の中で、ぶつかり合う三角関係が眩しい「羊と氷菓」前後編、大事なものを失った後の夏の日々がセツナイ「ナツヤスミ」…などピリっと辛く、ときに甘酸っぱい著書渾身の作品集、ついに刊行。