最果てにサーカス

月子

3.36

615

発刊:2015.11.12 〜

既刊3巻

『最果てにサーカス(1)』巻の書影
『最果てにサーカス(2)』巻の書影
『最果てにサーカス(3)』巻の書影
せーふぁさんが読んでいます

あらすじストーリー紹介

大正十四年(一九二五年)、桜舞う春に作家を志す23歳の文学青年・小林秀雄は上京してきたばかりのまだ18歳の詩人・中原中也と運命的に出会う。自意識の殻に閉じこもり、創作の迷路に入っていた秀雄に衝撃を与えて、彼の生きざまを根っこから変えていく中也… そして中也には同棲する一人の女・長谷川泰子がいた―― 事実を基にフィクションを交えて描き出す、文学に人生すべてをかける中也と秀雄… 『彼女とカメラと彼女の季節』月子が描き出す! まだ無名だった二人の切なく物狂おしい物語が今、ここに始まる…!!

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この漫画のレビュー

一覧
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.36

4件の評価

4.0

3巻まで読みました

早熟の天才詩人、中原中也とのちの近代文芸評論(作品を批評するだけでなく、文学史そのものの研究や作家と作品の研究も含み、守備範囲はとても広い)の確立者とされる小林秀雄の人間ドラマ。

恥ずかしながら詩を読んで味わえるような感性を持ち合わせていないので、物語とともに中原中也の詩が綴られても、どう読めばいいのかわからなかったです。
これはすごいんだろうなとはもちろん流れでわかりましたがそれ止まり。。

むしろ、中原中也と小林秀雄の天才どうしの出会いやさまざまな葛藤といった人間ドラマの方に惹かれました。
この文学者特有の苦悩や葛藤は、今の私たちにはあまり理解し難いものかもしれません。
例えば、芥川龍之介や太宰治といった文豪がこの苦悩や葛藤の末に自殺を遂げたのは、現代の私たちが考える「自殺」と彼らの考える「自殺」には大きな考え方の隔たりがあったのが要因とされているそうです。

実際に自殺に至ることはなかった中原中也と小林秀雄。もっとその前の、当時の文学者としての苦悩や葛藤を、月子先生の柔らかい作画で読むことができ、楽しめる。
その点で凄く入り込めました。ウィキペディアで彼らのその後を読むと切なくなります。
作品としては打ち切りエンドだそうですが、それでも面白い。味わい深い作品ですね。

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