恋は雨上がりのように

眉月じゅん

3.73

23760

発刊:2015.01.09 〜

完結・全10巻

『恋は雨上がりのように(1)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(2)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(3)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(4)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(5)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(6)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(7)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(8)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(9)』巻の書影
『恋は雨上がりのように(10)』巻の書影
すしこさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.73

581件の評価

3.8

10巻まで読みました

タイトルは恋は雨上がりのように
だけど内容としては恋は雨宿りのよう
という印象でした。

雨の日にいつも助けてくれる店長に恋をして
けがによって離れていた陸上や親友との距離をまた縮めようと背中を押すと同時に、
橘あきらの恋は終わる(雨が上がる)。
雨上がりの晴れた空にかかる虹のように、
二人の中でこの恋が美しいものになってればいいなと思いました。

加瀬の姉への想いそしてそれに対しての姉の想い
店長の結婚と離婚の話、
ルイちゃんの告白を吉澤がどう断ったのか①、
アキラの店長への手紙②、
店長がアキラに伝えた雨にかき消された言葉
はるかの恋の行方

まだまだ知りたかった、描いて欲しかった所もありますがこの余白が想像を掻き立てられてこの作品の魅力を広げているのかなとも同時に思いました。
セリフが少なく細かいコマ割りで感情を表現したり顔のアップが続いたり漫画としてもすごく工夫されてて読み応えがあったしすらすら読めました。


①→吉澤がデートの後の告白を断るのは男としてはすごく意外でかっこいいなと思いました。
正直吉澤がどうしてそんなにアキラが好きなのかいまいちわからないけど友達として好意のあるゆいちゃんにあそこまで思われていれば少しはなびいてしまいそうだなと思いました。あきらの脈があまりにもないしw

失恋で凹んでいるゆいちゃんにお姉さんがいう個性は大事、誰かになろうとしなくてもあなたは十分魅力的だ。
当たり前のようでいざ言葉にしないようなすごく好きなセリフです。

ゆいちゃんが専門に行って立派な美容師になって吉澤は進路を決めてやりたいことを見つけて
そんな時に2人が再会して代わりの利かない2人だけの恋がはじまったらいいなと思いました。

②→あきらの手紙は個人的には店長への感謝とお別れ、大好きだったっていう感じの内容だったんだろうと思っています。
どこかでやっぱり陸上を捨てられないし戻らなきゃいけないこのままではいけないという想いが芽生えていたように感じます。

4.1

10巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

45歳のファミレスチェーン店の店長「近藤正己」と、彼に恋をしてしまった女子高生「橘あきら」の話。
近藤は頭にストレス性のハゲがあり、愛煙家で決して尊敬されない典型的な冴えないおじさん、一方、橘あきらは長身でスレンダーなボディーを持つ容姿の整ったクールな女子高生で、女子高生好きの変態中年であればこれ幸いと不道徳的な交際が始まるのでしょうけど、近藤は極めて常識的な倫理観を持っており、年齢差からあきらを恋愛対象として見ることができない。
そんな二人のドラマを描いたものになっていて、各々の想いと胸のもやもやが少しずつ解きほぐされてゆくストーリー漫画となっています。
全10巻と長くなく短くない巻数となっていて、最終回でこの恋の決着がつきます。
サブキャラクターの話や、幕真の回も挟まりますが、基本的に一本道で、いつしか始まって終わるべくして終わる物語となっています。

なお、本作のラストは各所で言われている通り物議を醸すもので、否定的な意見が目立つものになっています。
私的にはこの終わり方はあるべき姿だったと思うのですが、感想を書く上でそのラストに触れないわけには行かないため、「ネタバレあり」で書かせていただきます。

ラストは、端的にいうと両想いとなりながら近藤はあきらを振る結果となります。
近藤は自分の中に芽生え始めるあきらへの想いを恋心と認め、言い訳ができなくなってしまう。
元日、あきらは近藤の家を訪れる。やがて暗くなる風景、家まで来るまで送ると提案する近藤だが、離れがたい気持ちになり一緒に初詣に行くことを提案する。無邪気に喜ぶあきら。
初詣が終わり、あきらは近藤の家に戻ろうと言うが、「あの部屋に戻っても、できることは何もない」と伝える近藤。
二人の関係はこれで終わりとなります。

付き合うことはできないと伝えるわけではない、はっきりとしない曖昧な終わり方となっています。
あきらも落涙するわけでもなく、きっぱりと引き下がり、次のシーンでは笑顔で陸上に打ち込む姿が描かれています。
情熱的だったあきらのアプローチもなかったかのような展開にあっけに取れられるラストとなっていたことは否めなかったです。
ただ、近藤は想いを抱えながらも一度も手を出さずに、相手のことを真剣に考えた結果その言葉になったわけで、とても真摯な終わり方だったと私的には思います。

近藤の回答はあきらの「好き」に対するそれではなく、雨はもう止んでいるから、この傘は閉じて青空に駆けてゆけばいいと告げており、婉曲表現ではありますが、あきらにとってそれは一番必要な言葉なんだと感じました。
きれいで、素敵な話だと思いますが、曖昧ではっきりしない、徒然とした物語のため、そういう話は苦手な方にはおすすめできません。
また、おっさんとJKと聞いて即座にエロスを妄想する方にもおすすめできません。残念ながら。

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