子供はわかってあげない

田島列島

4.09

6728

発刊:2014.09.22 〜

完結・全2巻

『子供はわかってあげない(1)』巻の書影
『子供はわかってあげない(2)』巻の書影
動物的データベースさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.09

179件の評価

3.5

2巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

「水は海に向かって流れる」から先に読んでいたが、そちらよりは少しパッとしない印象
宗教、性別、家族観などがドロドロに混ざり合っていくこの作者らしいストーリーになるかと思いきや、新興宗教の教祖の要素は特に深掘りされるわけではなく、あくまである一団体の事件が関係するといった感じで宗教であることにこだわりは無さそうだし(能力の部分で必要かもしれないが)、性転換した兄の要素は、マイノリティの価値観など社会的視点から描くわけでもなく終盤にサラッと触れる程度で完結するため、全体的に軽い作品となっています。
恐らくこの作品のジャンルやテーマが見えてこないことからハッキリとした印象をもてなかったのだと思います。
・高校生がフワッとした闇をもつ家族の問題に向き合う話というより、それらを通して最終的に爽やかな恋愛に落ち着くようなストーリーなのかな?と考えたが、自分にはあまりその恋愛部分については脈絡は無い様に感じられたため、経緯はわかるがその唐突さからいまいち腑に落ちない。
・事情がある人々が関わり合って成長、変化していくヒューマンドラマとして読んでも、特に主人公達は問題を自力で解決して人間的成長をするわけでもないし、人々が抱える問題もそこまで重くなく、なんだかんだで解決してしまうという展開のため、納得がいかない。
・とある宗教団体の事件を扱うサスペンスや探偵モノとしてみても大した推理や謎はなく、むしろご都合的な展開なので多分これも間違い。

と言った具合にこの作品に一貫したテーマは無いと言える…
むしろそのような穿った読み方をする方が間違いなのかもしれないです。
挟まれる小ボケや愛らしい人物像、緩い雰囲気などによるものか、この謎の爽やかな読後感が唯一無二の魅力、であり、細かい考察などはいらない、そんな不思議な漫画なのだという結論に至りました。
「水は海に向かって流れる」やその他読み切りでも発揮されていたが、少しクセのある話を日常のように描くこの空気感が心地良いのかもしれません。

12

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