この漫画のレビュー

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1524件の評価

4.7

22巻まで読みました

最強のプロの殺し屋を主役に、裏社会でのドラマを描いたアウトロー漫画。
主人公は殺し屋なのですが、事情が絡みミッションが与えられ、非情に暗殺を繰り返すような展開ではなく、どちらかといえばギャグよりの作品となっています。
本作は2021年6月に二作目の映画が公開され、一般認知度も高い話題作ですね。

裏社会において、都市伝説と言われるほど伝説的な殺し屋『ファブル』。
"ファブル"と呼ばれる"彼"は自ら名乗っているわけではないただ殺すだけのプロで、姿を見たものは必ず殺されてしまう凄腕でした。
だが、彼は殺しすぎてしまい、結果名前が知れてくるという殺し屋には致命的なことが起こりつつあったため、一年間殺し屋家業を休業し、一般人として潜伏することを言い渡されます。
最強の殺し屋"ファブル"は、組織の伝手で大阪の『真黒組』を頼り、「佐藤明」という偽名を使って、平和に日常を暮らし始める展開です。

"一般的"の意味さえわからないほど特殊な世界で生きてきたファブルが、普通の会社で働いたり、ヤンキーに絡まれて殴られたりします。
一般人として生活しろという命令を受けたファブルは、プロとしてヤンキーのパンチをもらい、泣いてわびを入れ、後日、街中で遭遇したヤンキーから逃げ惑うのですが、プロの殺し屋であるファブルと普通のヤンキーとでは身体能力は雲泥の差で、ヤンキーを翻弄した上でゆうゆうと元の場所に戻ってくるなど、事情を知る読者サイドから見ると笑いを誘います。
本当は凶悪な殺し屋なのに、仕事で描いたイラストが受けたり、テレビのお笑い芸人の寒いギャグに笑い転げたりする一方で、肌で匂いを感じ取り監視カメラの位置に感づいたり、闇から闇へ音もなく移動して生活を脅かす敵を秘密裏に攻撃したりする、そのギャップが楽しい作品だと思います。
本人は至って真面目なのですが、枝豆を皮ごと食べて指摘され「普通は食べないのか」と驚くなど、ちょくちょく挟まる世間知らずな行動に笑いを誘う作品です。

ギャグのみではなく、ヤクザ同士の因縁や他人の人生を金儲けの道具にしか考えないような悪人とのいざこざに巻き込まれ、当初の命令を守って殺さないように、守りながら敵と戦う展開もあります。
また、普段、ミッション通り殺すだけのファブルが、慣れない助けるための行動をし、そして日常の心地よさに気づいてゆくのも、本作の魅力と思いました。
本作だけでも完結しているのですが、2021年11月現在、第二部が連載中です。
殺さない殺し屋の日々を引き続き読みたいと思っています。

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