2006年01月17日発売
4巻
群ようこ、中島らも、神足祐司…。西原理恵子ほど、多くの作家やエッセイストと協業している漫画家はそういないだろう。そもそも表現者同士が同一の作品上で共存するのは難しいことのように思われるが、西原理恵子はその強烈さゆえに相手をさらに際だたせることができる希有な漫画家である。もう一方の表現者と全く別の次元から対象を語ることで、文章に意味の幅を与えてくれるのだ。 <p> 本書では『恨ミシュラン』 『鳥頭対談』など今まで文章とセットだった作品からマンガの部分だけを抜き出して集めている。そのため、すでに読んだことのある作品がそのなかに含まれている場合もあるだろう。しかし、不思議なことにそれらの作品とは明らかに異なった印象を本作から受ける。文章によって補われていた記憶とのギャップを楽しむことも可能だろう。 <p> 本書で西原理恵子の作品だけを読み返すと、彼女の描くキャラクターの濃さに改めて圧倒される。その濃さは、単なるデフォルメから生まれるものではなく、ふと現れるその人の「素」の部分をサイバラが敏感に読みとり、徹底的におかしく表現することによって生まれるもののように見える。その一番の対象は彼女自身であったりもするのだが。 <p> 作品を並べただけの単純な構成が、逆に読み手にいろいろな受け取り方を許してくれる。たとえそれが『サイバラ茸』…「サイバラだけ」というダジャレをやりたいがための本だったとしても。(大脇太一)