バージン1

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既刊1巻

バージン1巻の表紙

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『バージン(1)』巻の書影

バージン(1)のあらすじストーリー紹介

   1985年に発売された、岡崎京子の処女短編集の新装版。表紙に描かれた女性の、さめた瞳の印象そのものといった雰囲気の、はかなくもみずみずしい作品群が並ぶ。 <p>   本書は、94年発売の単行本『リバーズ・エッジ』以降の作品群などと比べると、まだ完成度が低く粗さやつたなさが目立つものの、90年代以降あまり前面に押し出されなくなる、叙情性や透明性が印象的である。また、『リバーズ・エッジ』以降の作品に至るまで一貫して特徴的な、岡崎京子らしいクールな感性が、すでに「彗星物語」の、時間が止まったかのような砂浜にたたずむ2人の会話のモノローグや、「CURRY RICE」の、大好きなカレーライスと、彼氏との初体験との鮮やかな対比などに見いだされる。 <p>   また、一見相反する要素が実は表裏一体であり、そのためにさまざまな「むずかしい問題」が発生する、という岡崎作品の重要な主題も、恋愛感情の残酷さをさらりと描く「あねいもと」などで、すでに描かれはじめている。大島弓子や奥平イラなど先人の影響が未吸収のまま表に出たような側面もある一方、パンク・ニューウエーブ期の音楽の自由奔放さにも似た、岡崎京子のなんでもありの独自性もはっきりと顔をのぞかせている。どんなことも起こりうる世界のなかで生活を送る若者たちに、「いま起こっていること」を描き続ける岡崎京子の出発点として、読み逃せない初々しい1冊。(横山雅啓)

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