2巻
本筋より、背景に描かれた看板や張り紙、Tシャツに書かれた文字につい目が行ってしまう4コマ漫画集。オチよりその背景がおもしろいことも多いが、それも呵呵大笑できる性質のものではない。ニヤッとするか、鼻毛をひと吹きそよがせる程度の笑いだ。しかし、これがなかなか後を引くのである。 <p> たとえば「ハム」という作品がある。アマチュア無線に熱中している少年の姿が3コマ続いた後、無線機に見えたのは実はそば屋のチケット売場の店内マイクだった、という無理なオチがつくのだが、「ハムをやってる」と読者に思わせるための仕掛けのポスターが実に良いのだ。オールバックにサングラス、くわえタバコの館ひろし風顔面アップに「ハムのプロ」というロゴ。脇役が主役を食って、作品を救ったという感じだ。 <p> ほかに「ささみ200㎏」「猫年がない」「古本のみ」などが収録されているがヒット率は低い。だがその分、ちょっとした宝探し気分が味わえるはずだ。(中山来太郎)