『BURST』や『週刊漫画サンデー』などに掲載された漫画作品を集めた単行本です。2000年から2004年まで、約3分の2を「自腹で、自主的に」おこなったという風俗通いのレポートが時系列に並べられています。後半になると貯金がなくなって風俗にいけなくなり、そうなると風俗漫画も描けなくなって給料がもらえない、という無間地獄に落ちいるほどに風俗に狂ってしまった著者の姿が克明に記されています。
ホテルから店に電話をかけ、ホテトル嬢が到着し、ことを成す。描かれるのはこの繰り返しであり、驚くようなどんでん返しが待ち受けているわけではありません。むしろ、これだけ繰り返していながら毎回毎回まるで生まれて初めて体験することのように嬉しそうにする著者の姿こそ、読者を驚かせるのです。
たった数十分の体験を、できるかぎり詳細に、濃密に描き出そうとする著者の記憶力は相当なものです。ホテトル嬢1人1人の顔かたちから、会話、「おセックス」の内容まで、あますところなく書き記す姿勢は、なにかの生物観察記録でも見ているような気持ちにさせてくれます。
セックス描写というのは淫猥なものですが、その上に日常の細々したユーモアをかぶせて綴った本書は、読んでいて前向きな楽しさを感じられる1冊です。