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田中ユタカ
3.47
1038
新刊通知
既刊5巻
11件の評価
山形
4.0
悲しくも希望と救済に満ちた物語だった。発行年からしてエヴァが流行った時期に増えたセカイ系作品の一つだろうけど、その中でも頭ひとつ抜けてると思う。ここまで徹底して愛を大切に描きながらも、同時に人の業を描いた作品はちょっと思い浮かばない。登場人物たちの背景に壮大なものがあり、その命が尽きかけているという始まり方はkey作品をイメージすると分かりやすいかもしれない。イクルとあいの生活を描きながらも、時折挿入される重厚なSF。SFが2人を結びながらも、本人たちは気にしないという絶妙な距離感は完成されたセカイ系のそれ。
うにたべたい
4.1
終末もの、あるいは世界系と呼ばれるジャンルに位置する作品です。可愛らしいロリ系のキャラがヒロインで、直接的な性的表現も多々あるのですが、ストーリーは硬派でよく練られたSF作品となっています。今から遠い未来。間もなく人の世が終わろうとするころの時代の話。大きな交通事故に会ったが、何者かによって体の半分以上に「他者」を移植し生き延びることができた。しかし、その後遺症でもがき苦しみ、毎晩の悪夢に苦しむこととなったヨシズミ・イクルは、一人きりで死にゆく寂しさに耐えきれなくなり、市役所に「愛人(アイレン)」を申請する。愛人(アイレン)とはイクルのような末期的な患者の精神的な助けになるために与えられる人工の人間で、アンドロイドなどと異なり、医学的見地からも普通の人間と変わりがないが、およそ10ヶ月ほどで死ぬ運命が刷り込まれている物である。イクルは愛人(アイレン)のあいを手に入れるが、通常の愛人(アイレン)とは様子の異なるあいにやがて心頭し、つかの間の幸せの日々を過ごす。イクルとあいのラブラブな日々の裏側では、世界はHITOと名乗る集団による兵器の掌握や、呪いと呼ばれる生物兵器による世界的なテロの勃発などにより破滅の方向へ粛々と動いている。イクルとあいは忍び寄る死神の靴音に怯えながらもこの世に生きた意味を探す。謎が謎のまま明かされない部分もあるのですが、愛し合った二人の片割れが死んで残された者の悲しさ、どうしようもない絶望の中、見つけた一握りの奇跡に感動する作品です。できるだけネタバレしたくないので、どうしても抽象的なレビューになってしまいますが、おすすめの作品です。
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