石ノ森章太郎

マンガ日本の歴史

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水稲耕作の伝来とともに弥生時代は幕を開けた――。日本の歴史を常に国際環境の大きな視野のなかに位置づけ、人間の精神や感性の社会との葛藤の模様を描くことにより、歴史的側面はもとより、精神史、文化史までをも再構築する。

マンガ日本の歴史(1)

古代日本史最高のヒロイン、卑弥呼登場……。『魏志』倭人伝のお記述を手懸かりに、弥生時代後期の「倭国｝が大乱から統合へと向かいゆく有様、また、弥生文化が日本列島各地域に個性豊かに定着してゆくその過程をいきいきとよみがえらせる。

マンガ日本の歴史(2)

さまざまな神話と伝説とに彩られた三世紀後半から五世紀末――『宋書』倭国伝にみえる「倭の五王」が宋への朝貢を楯に日本全体を統合していくさまを、前方後円墳という墳墓様式の伝播と王の守護神への服属祭儀としての大嘗の祭の形成とを軸に描く。

マンガ日本の歴史(3)

大和王権は中国や朝鮮半島の情勢と連動しつつ、諸豪族を糾合しながら超越的な権力へと発展していく――。一方、渡来人や帰化人によってもたらされた仏教が豪族を崇仏派と非仏派とに分かつなか、王権はさらなる飛躍に向け、選択を迫られる。

マンガ日本の歴史(4)

超越的存在に成長した王権中枢部は血で血を洗う暗闘の場であった――。初の女帝推古天皇と摂政聖徳太子は、積極的に国際社会へ乗り出しながら国内の改革を大胆に推進する。

マンガ日本の歴史(5)

大化の改新に始まる急進改革は社会に次第に大きな歪みをもたらし。遂に古代最大の抗争「壬申の乱」が勃発。大乱に勝利した天武天皇は、本格的な律令国家への途を歩み出す。

マンガ日本の歴史(6)

仏教を支配のイデオロギーとした国家が直面するさまざまな矛盾……恵美押勝の乱、道鏡の専横と女帝の悲劇。大仏開眼供養から激動の四〇年を経て、桓武天皇は強大なリーダーシップをもって平安遷都を挙行、新時代の始りを告げる。

マンガ日本の歴史(7)

唐より帰朝した最澄と空海は密教を新たな思想的支柱として確率、一方都市的空間を形成しつつあった平安京では官僚貴族間の権力闘争が続いていた。やがて擡頭した藤原北家は排斥した政敵の怨霊に怯えながらも摂関政治の端緒を開く――。

マンガ日本の歴史(8)

九世紀末、宇多天皇は能力・識見ともに群を抜く菅原道真を側近に抜擢、藤原北家の反撥は道真の配流事件へ発展する。続く醍醐天皇の国政改革はめざましい成果ををみせるが、支配力の強化は没落勢力の鬱念を顕在化させ、〈道真の怨霊〉を呼び覚す

マンガ日本の歴史(9)

東国では平将門が菅原道真の怨霊を掲げて朝廷に反旗を翻し、西国では海賊藤原純友が乱を起す。国衙支配の強化に在地勢力や有力農民らが一指導者の下に結集したのだ。この過程で発生した「兵」たちを内側に取り込みながら王朝国家は成熟へと向かう。

マンガ日本の歴史(10)

「この世をば我が世とぞ思ふ望月の…」十世紀末、藤原北家の長年に亙る他氏排斥は道長による摂関政治全盛の謳歌に結実する。華やかな儀式や遊宴などの王朝絵巻が繰りひろげられた時代は、得体の知れない物怪や生霊が跳梁し、呪詛行為が横行する時代でもあった。

マンガ日本の歴史(11)

藤原道長の逝去から半年、東国で平忠常が反旗を翻す……。盛時の力を失い始めた朝廷に対し、地方では寺社勢力が農民を吸収することで擡頭、また武門の棟梁らも地方武士を糾合することで立ち上がり、両者ともに中世への地歩を確実に築いていく。

マンガ日本の歴史(12)

朝廷に強訴をかける寺社、朝廷警護をきっかけに王権の武力中枢を蚕食する武士――。諸勢力が乱立し社会的成長を遂げるなか、後三条天皇以来の親政の継承・展開を狙う白河天皇によって日本独特の王権の形態「院政」が生れる。

マンガ日本の歴史(13)

摂政家・近臣・貴族を巻き込んで拡大していった鳥羽法王派と崇徳上皇派の対立は、鳥羽法王の死歿を機に武士が主役となる武力衝突に発展した――。この保元・平治の乱を経て平清盛による初の武家政権が成立、平氏一門は全盛を誇る。

マンガ日本の歴史(14)

伊豆に源頼朝挙兵。壇ノ浦合戦で源平内乱に勝利した頼朝は、義経・奥州藤原氏の討伐を敢行、この過程で各地の武士団を御家人組織に結集させる――。ここに至って頼朝は名実ともに全国に及ぶ〈兵馬の権〉を掌握、鎌倉幕府を確立する。

マンガ日本の歴史(15)

頼朝亡きあと、幕府は尼将軍北条政子を中心に新たな体制を模索して内紛を繰り返す。三代将軍実朝暗殺で源氏の将軍が途絶えたことを契機に朝幕の安定した関係が破れ、両者が刃を交える〈承久の乱〉を迎える。

マンガ日本の歴史(16)

高麗を降したモンゴル皇帝フビライは次の狙いを日本に定め国書を送る。しかし幕府と朝廷はこれを無視、執権北条時宗は西国の御家人に“異敵”の襲来に備える指令を発した。日蓮の批判が現実化した蒙古襲来から得宗専制の時代は「旅の時代」であった。

マンガ日本の歴史(17)

北条専制が進むにつれ、幕府への反発から、荘官、地頭、農民、僧をはじめ権力機構の末端の御家人たちまでもが「悪党」化し、その力は新しい時代の幕開きの原動力となった。そんな動乱の時代に屹立する強烈な二つの個性・後醍醐帝と足利尊氏。

マンガ日本の歴史(18)

西暦一三三六年一二月、密かに京を脱出した後醍醐帝は吉野の山中に行宮を設け、〈一天両帝、南北京〉の動乱時代が始まった！　時代を流れる濃やかな息遣いさえ甦らせる「萬画日本史」第19巻

マンガ日本の歴史(19)

足利義満は幕府の由来となった室町第を造営、一三八五年に始まる諸国遊覧で将軍の権威を誇示し、将軍絶対の新時代の到来を天下に示す。

マンガ日本の歴史(20)

有力守護大名による《宿老会議》の結果、くじ引きで六代将軍となった足利義教。しかし、飢餓と悪疫が流行する社会のなかで、日本開闢以来初めての土民蜂起がおこる。

マンガ日本の歴史(21)

西暦一四六七年五月二六日、京に始まった応仁の乱。以後十数年に亘り、西国のほとんどの地域を戦火に巻き込み、栄華を誇った京の都を焦土と化したこの大乱を、新視点で捉える。

マンガ日本の歴史(22)

宗祖親鸞により主に農村中心に普及し、本願寺八代法主蓮如の出現で全国的発展を遂げた一向宗と、町衆と結んだ法華宗の「一揆の時代」を描く。

マンガ日本の歴史(23)

明応の政変で十数年間を不遇な異国の旅に費やす足利義材。その間全国的に権力の地方分権化が顕在化し、時代は戦国大名相互の国盗り合戦に。

マンガ日本の歴史(24)

今川義元を破り、独り立ちの戦国大名としての第一歩を踏み出した織田信長。「万国安寧」を目指して上洛を果たしながら、志半ばにして本能寺に斃れたその四十九年の生涯を描く。

マンガ日本の歴史(25)

京・大徳寺で行われた信長の大業を継承することを天下に知らしめた秀吉は関白にまでのぼりつめ、惣無事＝平和令によって全国の平定を進めて行く。

マンガ日本の歴史(26)

聚楽第完成と九州の戦勝記念の宴として催された盛大な「北野大茶会」から、厳戒のうちに行われた寂しい「醍醐の花見」へ。天下人秀吉が描いた対内外政策の挫折。

マンガ日本の歴史(27)

天下分け目の戦を勝ち抜き太平の世の扉を開いた徳川家康。巧みな人心掌握と堅実な戦略で徳川幕府三百年の礎を築いた〈天下殿〉の深謀遠慮。

マンガ日本の歴史(28)

家康の死は幕府に動揺を与えるが、将軍秀忠は〈武家諸法度〉による改易・転封で大名を統制し権力を強化する。また朝廷には〈公家衆法度〉で後水尾天皇に親しい公家を処罰、和子姫入内を強要し、朝廷をも超越する幕府権力の強化に成功する。

マンガ日本の歴史(29)

幕閣体制を整え強力な将軍権力を行使した〈生まれながらの将軍〉家光は、家康や秀忠とは違う対外政策〈鎖国令〉をとり、外国貿易の統制、キリシタンの弾圧を強化する。しかし、天草四郎時貞を首領とする〈島原の乱〉に幕府は狼狽する。

マンガ日本の歴史(30)

寛永の大飢饉を経て小農民の維持育成等の勧農政策が幕府により推進されるなか、戦争がなくなり恩賞による知行拡大が望めなくなった領主たちは、新田開発や用水工事等、自己の領内を開発することで実質的な領地拡大を図っていく。

マンガ日本の歴史(31)

〈犬公方〉綱吉の、力による刷新により、屈折した戦国の遺風「かぶき者」が一掃された元禄時代に赤穂浪士の仇討ちが起る。一方、井原西鶴の草子、近松門左衛門が戯曲を書いた人形浄瑠璃や歌舞伎、松尾芭蕉の俳諧など町人文化が花開く。

マンガ日本の歴史(32)

富士山大噴火の一年後に将軍綱吉がこの世を去り、六代将軍には家宣がついた。将軍親政を意図する家宣を新井白石と間部詮房が支える。〈生類憐み令〉が廃止され、社会は商品流通の発達で活気を帯びていく。

マンガ日本の歴史(33)

紀州藩主時代から賢侯ぶりが世評に高かった将軍吉宗。〈米将軍〉と呼ばれた吉宗は、米価の調整や新田の開発に力を入れ、幕府の懐を潤した。これらの米政策に加え、質素倹約などを進めた〈享保の改革〉は、幕藩制国家を再建充実させた。

マンガ日本の歴史(34)

度重なる凶作・飢饉により年貢増徴が難しいと考えた田沼意次は、幕府専売制の推進といった新経済政策を打ちだし、年貢の不足を補った。しかし、商品生産と流通に対する課税策は新たな社会不安をひきおこした。

マンガ日本の歴史(35)

マンガ日本の歴史(36)

マンガ日本の歴史(37)

マンガ日本の歴史(38)

マンガ日本の歴史(39)

マンガ日本の歴史(40)

次々と訪れる外国船の対応に悩まされる老中・阿部正弘。そんな中ついにアメリカ東インド艦隊司令長官ペリー率いる“黒船”が来航し開国を迫る。強力な武器を持った米国艦隊に対し幕府は抗う術がなく、日米和親条約の締結と横浜開港を認める。

マンガ日本の歴史(41)

西郷隆盛・高杉晋作・桂小五郎といった〈草莽の志士〉たちが、維新の時代に活躍するが、坂本龍馬と中岡慎太郎は、新しい時代を見ることなく、刺客の手によりこの世を去った。そして最後の将軍・徳川慶喜の大政奉還により新しい時代が始まる。

マンガ日本の歴史(42)

廃藩置県で中央集権官僚体制の基礎が固まると、岩倉具視を特命全大使とした使節団が米欧に派遣された。岩倉具視使節団訪米後、政府はさまざまな封建的規制を廃止し、近代化を目指す新政策を矢継ぎ早に打ち出した。文明開化の到来だった。

マンガ日本の歴史(43)

ゼロから出発した明治の社会が次の段階を迎えようとした時、木戸孝允、西郷隆盛、大久保利通が相次いでこの世を去った。維新の三傑時代の終焉は、政治が個から組織の時代へと向かう暗示だったのか、この後、民権運動が激化し、憲法発布へと続く。

マンガ日本の歴史(44)

長野県野尻湖は春三月に水を落とし、湖岸の一部が干上がる。その一帯から数十頭のナウマンゾウと十頭近いオオツノジカの骨、さらに石器、骨角器などが発掘された。旧石器人達がこれらの動物を捕らえ、解体した場所“キルサイト”といわれている。

マンガ日本の歴史(45)

およそ一万二千年の昔、地球上の気候が、寒冷な時期から温暖な時期へと転じる。ちょうど同じ頃、縄文土器の出現によって画される縄文時代が始まる。温暖化した気候のもとで、安定した食糧採集に依存し、定住生活を送る日本型の新石器時代である。

マンガ日本の歴史(46)

四五〇〇年前の新潟県の遺跡から、口のあたりが火の燃え上がっているように飾られた豪壮・雄渾な“火炎土器”が発掘された。この頃、縄文文化は山野・海川からの豊かな食料に恵まれて最高潮に達し、東日本では想像を超える大型住居も生まれる。

マンガ日本の歴史(47)

土器の様式や人生の節目に行われる抜歯の風習、婿入婚と嫁入婚など、東西二つの文化圏に分けられる縄文晩期。北九州に到達した渡来人がもたらした水稲耕作技術は、食糧事情を一変させ、やがて収穫物をめぐり人が人と戦う時代へと向かわせる。

マンガ日本の歴史(48)

明治二三年、東洋初の憲法の下での最初の衆議院総選挙が実施された。選挙の結果は反政府派の民権派議員が過半数以上の議席を獲得。帝国議会は、打倒藩閥政治を叫ぶ民党と政府が正面衝突し対立を繰り返した。その両者が歩み寄る機会となったのは、明治二七年に開戦を迎えた日清戦争だった……。

マンガ日本の歴史(49)

日清戦争後、列強の利益獲得戦争は清国ばかりでなく韓国にも及び、特に日本とロシアがしのぎを削った。独立自衛のための生命線確保を目指し、大陸への膨張政策をとりだした日本にとって、ロシアの南下政策は大きな脅威となっていた。そうした状況下、日本はロシア牽制のため、英国との同盟を模索する。

マンガ日本の歴史(50)

大正三（一九一四）年に勃発し、四年三ヵ月後に終結した第一次世界大戦で、日本の経済は大きく発展した。しかし好景気はインフレを伴って労働争議も増え、全国で起こった米騒動で寺内内閣は倒壊。そしてデモクラシー思想の流れの中、初めて爵位を持たない平民宰相・原敬による本格的政党内閣が誕生した。

マンガ日本の歴史(51)

〈昭和〉は、経済恐慌の中、華やかな都市文化、大衆文化の発達をバックに幕を開けた。二五歳以上の男子による初の普通選挙も実施された。しかし、スタートしたばかりの政党政治は、擡頭する軍部の力を抑えきれず挫折の時代を迎える。満州事変、五・一五事件、国際連盟脱退、二・二六事件……暗雲はひろがる。

マンガ日本の歴史(52)

一九三七年中国廬溝橋に響いた銃声は日中全面戦争に拡大。大東亜共栄圏構想を展開する日本の武力行使で、英米との対立が激化する中、日独伊三国同盟が結ばれた。一九四一年、日本が英仏蘭に宣戦布告。拡大する戦火はアジア諸国を日本と欧米との戦場とし、日本は国家総動員体制のもと太平洋戦争に突き進む。

マンガ日本の歴史(53)

一九四五年八月日本が無条件降伏をし。廬溝橋事件から八年、満州事変から数えれば十四年に亘る、総力戦の名のもとに国民を駆り立てた「戦争の時代」が終わった。日本は、最高司令官マッカーサー率いる連合国軍の軍事占領下に置かれ、民主化と非軍事化を柱に憲法改正をはじめとする占領政策を実施される。

マンガ日本の歴史(54)

米ソ冷戦の結果として安保体制を代償に、日本は講和独立を獲得。国家的自立の道を歩み始めた。だが一九六〇年、“日米安全保障条約改定”を機に、安保反対闘争が一気に激化。岸内閣は国会に警察官を導入、強行採決を行なった。この未曾有の騒動に内閣は総辞職、代わって池田内閣が成立。以後日本は、急速な経済成長を遂げ、大きく社会変貌していく。

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