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菅原亮きん
3.24
272
新刊通知
発刊:2018.06.12 〜
完結・全3巻
4件の評価
鈴木
5.0
難病恋愛ものというベタな題材に、マンガの魔法をありったけかける。コマを超えてページ全体の上から漫符や擬音が降りかけられる。コマの接続で空間的距離を乗り越える。同一空間での異なる時間軸の出来事が同時に展開する。キャラクター・コマ・吹き出しの配置が連動する。とにかくトリッキーな表現技法のオンパレードで、画面構成は実にアバンギャルド。ただそれは実はかなり目的化されている。時間を描く、時間を描き直すということに向けて。結局、映画や音楽というものに比べて、マンガ固有のアドバンテージは、時間だけは好きにできるということなのではないかと思う。物理運動の制約を離れて、内面の、感情の時間で物語を動かす。それが目指すところは明白だ。描きたいことはひとつだ。恋していた時間は、永遠なんだ。なにかこの作品の良さを文章で表現することって無謀な気もしている。マンガだけに表現し得るものを追求した作品だから。マンガへのラブレター。"その夜は、引く波に立つ足の裏の、砂に埋もれる感触みたいに、上級者向けのゲレンデの、コブの向こうの景色のように、先生の、声の余韻が一晩中、鳴り止まなくて眠れなかった。"
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