ヒロインボイス

佃煮のりお

3.13

201

発刊:2016.03.26 〜

既刊1巻

『ヒロインボイス(1)』巻の書影
うにたべたいさんが読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.13

2件の評価

4.1

1巻まで読みました

多才な活躍をする漫画家・佃煮のりお氏の作品。
アイドル声優の世界を舞台にした作品で、作者の佃煮のりお氏は前作「ひめゴト」のアニメで、実際に声優デビューを果たしています。
また、元々声優を目指していたことがあるそうで、本作の取材のため声優事務所預かりとして所属していたそうです。
そういった経験を元にしているためか、描かれている世界は決してきらびやかなだけではなく、ままならない、厳しい世界です。
作中、30万人の声優志望の内、声優を仕事にできるのは1万人、声優だけで生計を立てているのは300人くらいだというセリフがあり、可愛らしい絵柄に似合わない、声優事情が描かれた作品だと思います。

主人公は、ヒロインに憧れて演劇部に入部したが、特徴的な声のため主役に抜擢されないままでいる女の子「山田乙女」です。
ある日、勘違いで入ってしまった声優のアフレコ現場で、マイクの前で台本を読んでしまう。
当然、追い出されるのですが、その声を聞いていたプロダクションにスカウトされ、声優の世界に飛び込んでゆきます。
もう一人、その現場に居合わせた同プロダクション所属の声優「綾瀬すず」もまた主役の一人です。
すずは過去、大手プロダクションに所属していましたが、スキャンダル騒ぎがあって弱小プロダクションに転籍、ネット上の誹謗に晒され続けています。
プロダクションは、素人声優の乙女とすずに、声優ユニットを組むことを提案するという展開になります。

絵柄は佃煮のりお氏らしい丸っこくて可愛らしく、テンポも良く読みやすいです。
ただ、乙女の声優としての才能っぷりにはご都合主義的な感じを受けます。
乙女はトントン拍子に認められていきますが、対してすずは、迷走し、リテイクが多く、ダメ出しを受けるシーンが多い印象です。
乙女も急に大役を任されるようなシンデレラ・サクセスストーリーではなく、ワークショップやテープオーディションなど、地味な活動がメインです。
ラストは、声優として羽ばたこうとするまでで、全2巻という非常に短い話数で1部完となりました。
のりお氏大好物の男の娘も登場しますが、大した活躍も無いまま年月が経っています。
難しいと思いますが、個人的に続きを切望している作品です。

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