───飢えているのは血だけじゃないんだね。街の爪弾き者・ロヴィサ、死を待つ牙折れの白い吸血鬼・アシュリー。巡り会った2人は、静かに孤独を溶かし合うが…。餌としての至福、太陽を捨てる決意…人と吸血鬼、いくつもの夜を越えて生きていく。連作読切集!!
余命幾許もない少年と人造遺伝子人間の少女の人生最後の日々を綴った不朽の名作漫画の愛蔵版。著者ロングインタビュー等も収録。
病気で余命いくばくもない少年が、孤独を埋め合わせるためにつくられた人造人間の女の子と最後の日々を過ごす。 愛蔵版という形で、辞書のような本が上下巻で出ている。 最初に読んだのは十代半ばのときだったのかな? まだ全五巻のコミックスのうちの最終巻が出ていなかったように思う。 このマンガはちょっと変わった刊行のされ方をしていて、連載は99年の5月から02年の5月まで。 コミックスも四巻までは順調に出ていたのだが、連載版に大量の加筆修正を加えた最終五巻が出たのが04年の9月となっている。 このあたりの経緯は愛蔵版のあとがきに詳しいが、かいつまんで言うと「ある日突然マンガが描けなくなった」というようなことだ。 『最終兵器彼女』と同時期で、この『愛人』もいわゆる「セカイ系」のひとつとざっくり言えるところがある。『イリヤの空』あたりもそうだけど、このあたりの「セカイ系の終わり」の作品群が揃ってぶつかった課題、困難は、やはり9.11なのではないかと思う。 その困難に向き合いながらこの作品がどういった答えを出したかはここでは触れない。 ただ、このことを書いておきたい。 ここまで苦悩の刻まれた作品というのを、自分は他に見たことがない。 その血の滲むような悩み苦しみの軌跡をなぞることそれ自体が、この作品に触れることのひとつの価値であるように思う。 破局的な暴力を前にして、人を愛することは虚しいか? 表現は無力だろうか? この『愛人』のあとの『ミミア姫』という作品のあとがきの中に書かれた言葉がずっと印象に残っている。 "『戦車で踏み潰されても殺されないもの』を描きたいです。 『どんなに殺されても消えないもの』を描きたいと願います。" 全人類に読んでほしいなんてさすがに言わないよ(言いたいけど)。 でも、せめて何かを表現しようとする人には、一度は読んでほしいと願う。 「表現すること」それ自体の力に殴られるような読書体験。 それから、だいぶあとになって氏は『初愛』(全三巻)という作品も描いている。 これ、作品としては『愛人』よりも好きだったりするのだが、ただ、『愛人』あってこその作品、ということもあって、ここではこちらをとり上げた。 『愛人』と真逆の、作中の言葉を借りるなら「笑ってしまうくらいありふれた」ことを描いていて、こちらも本当に美しい作品なので、ぜひ。 『愛人』については、どうしても読んでほしいってのもあって無限に書いてしまうのだが、ここでは最後にもうひとつ、一番好きなシーンのことだけ書く。 主人公のイクルとあいが野外ライヴを観に行くエピソード。 そのバンドは、役目を終えた用済みの人造人間たちのバンドなのだが、そこでやはりパートナーに先立たれたという人造人間の女が歌をうたう。 "それは… とんでもなく悲惨な内容の歌詞だった 育ちの悪いバカな女が苦しく激しい恋におちた 女はそれがただひとつの本物の恋だと信じた 不幸でバカな女だった 苦しいつらい恋だった" それで結局女は相手の男を殺してしまうわけだ。 場面は変わって、こわれた精神のまま刑務所で臨終の際にいる女が、夢を見ている。 自分が殺してしまった男との性交に耽った日々をずっと反芻している。 曲は最後こういう風に幕を閉じる。 "清らかな天使たちにだって 胸をはって大声で言えるわ 生まれてきてよかった あたしいましあわせよって 世界が死にたえようと あなたが死んでしまおうと あたしが死んでしまおうと そんなのたいしたことじゃない そんなのたいしたことじゃない"
by 鈴木 (34)音楽高校1年生の久藤道明はピアニスト志望なのだが、超あがり症のせいで実力を出せない。そんな彼の唯一の弱点克服法は、ある人物にキスをしてもらう事だった。果たして、その人物とは…!?