NAKAZAWA さんのレビュー

地雷で戦車を！？

子供の頃に読んだ。私もマスターなのでいま読んだらきっと読み方が変わっているだろう。再読したい。地味にキートンのお父さんと犬の話が好きだった。安定なのはカーリマン。

原作なし浦沢直樹はこれしか読んだことがない。マッドハウスでアニメ化もされてるし、PSYCHO-PASSのエンディングでは元ネタになっているが、あまり語っているのを見かけない作品だ。コーヒーに砂糖を入れるおじさんの話が好きだ。哀愁というものにあまり縁がない私にも浦沢直樹の描く哀愁は伝わってくるし嫌にならない。紋切型な表現になってしまうが説得力の高い絵柄である。

赤坂アカはマーケターとして優秀だと思った。ブロック単位で構成されたシナリオはキャラクターを様々な角度から照らして内面やスキルを浮き彫りにする。物語は面白い。
しかし細部に関してはダサいと言わざるをえない。具体的には、ある感情を偽るために幼馴染と一緒にすることがキャッチボールというところだ。なるほどその年齢設定を活かしたのかとポジティブに拾えない前時代的なスタイルである。ピークは舞台編ラストだと思っているが、ここ一番のコマ割りが下手。結局その場面を次の話で台詞にして解説するという手際の悪さを見せた。コマ割りは別の担当がいたほうがいい気がする。

友達に勧められて読んだ。性の描き方がいやらしくない。少女漫画にある装飾をとりのぞき、ひたすらシンプルに、けれど動きのある画面を作り上げている。振り返るという日常的な動作をきちんとリズムよくできていた。

個人的聖典。一時期『アクタージュ』と比較されたが方向性としては真逆で、そちらは人間らしさを演劇を通じて獲得していくのに対して、北島マヤは石や木、自然になっていく。読むとなんでもできるような気がしてくる危ない漫画である。