時は7世紀、中央アジアの一隅で……。炎の名を持つ山の地下深く、縦横に広がる秘密の水路。さらわれた子供を救出すべく潜入した孫悟空の前に、誘拐犯たちが「あの人」と呼ぶ怪人の巨影が立ちふさがる。その頭部には…角! 果たして悟空の金箍棒(きんこぼう)は勝てるのか!? 天竺(てんじく)は未だはるか、シルクロードの彼方に。しゃく熱の山で待つのは大いなる謎と王宮の闇、そして…最・強・の・敵! 孫悟空を「呪われた宿命を変えようと戦う人間の少年」として描く西遊記漫画の異端にして金字塔、最激章の開幕。 『西遊妖猿伝』の孫悟空や猪八戒は動物の妖怪ではなく、唐の時代を生きた人間です。「西遊記」の物語をモチーフに、史実と空想を精妙に絡めて展開する大冒険旅行記なのです! ※本作は、1~6巻が発売中の『西遊妖猿伝 西域篇』の続きとなる新章です。
諸星ワールドが存分に楽しめる快作。 「西遊妖猿伝」の竜児女の生まれ変わりとも言える、妖艶かつ剛胆、腕が立ち任侠に篤い、知性鋭い美女が大活躍する、痛快な伝奇物語。 とにかく玉英こと碁娘が格好いい。 伏線を効かせたり、ハラハラさせたりで読者を飽きさせない。編中の碁の作図が「ヒカルの碁」のようにかっちりしていればなお良かったが、娯楽に徹したと解釈すればそれもよし。 多分に、「西遊妖猿伝」で志半ばで散っていく竜児女への思いもあろう。というか、竜児女の人気のあまりの高さに、彼女を主人公に一編をと言うのが真相か。 どちらにしろ碁娘を竜児女の生まれ変わりと見て、「西遊妖猿伝」と併せて読めば面白さ倍増。勿論「西遊妖猿伝」も五つ星の面白さ。