伊図透

ビーム

エリス“エリン・ブロコビッチ未満”編が良かった
あとはそんなに…

「箱型丸目」「星が奴を殺す。その前に」
上記2作、素晴らしかった。
掠れた線で描かれる背景や、格子状の影が印象的な光の描写がめちゃくちゃに良い。
ただし、異常に遠回りな台詞回りに読みづらさを感じる。
作者の別作品の外伝が所収されており、未読のため読み飛ばした。

表現が素晴らしい

伊豆透氏にはSFを描いて欲しい

SFかと思いきや盛大な人間ドラマ

戦争の真っ只中にある物語の舞台となる国、レズモア。その田舎の村から女性志願兵として出兵したウルナ。彼女は狙撃の腕が優秀だった。派兵先は国の外れの小さな島。謎多き蛮族を抹殺しろと言う。
そして現れたのは大きな歯茎の形をした異形の怪物だった。

架空戦記ものだけど幼女戦記みたく戦闘主体ではなく、メインはウルナと戦争がもたらす後遺症、そして彼女をとりまく人々。戦記ものなのに、ただただ淡々と物語は進んでいきます。
けっこう女性の描き方に癖があるので、合わない人は合わないかも。
でも僕が紙で集めたかったのは表紙がかっこいいから。

肝心のストーリーは、たぶん好みがすごく分かれる。ドンパチ好きにはおすすめできない。殊勲をあげて英雄ともてはやされるウルナの気持ち。そこにどこまでついていけるか。
個人的には買って間違いなかった。

途中からビーム

大きな国が小さな国の、とある民族を殲滅し歴史から人々の記憶から、消し去ってしまう…そのかなしみ。絶望。
出会う筈のない2人が出会い愛し合うが…断ち切れない血と憎しみの連鎖。

情景描写力は圧巻のひとこと。雪吹き荒ぶ闇夜に浮かび上がる白い塔。撃ち落とされる美しい翼。業火を背に立つ男。
漫画の表現への果てしなさ