「殺したい人は、誰ですか―――?」殺人が合法化された未来の日本。凶悪、多様化した犯罪から弱者を守るため、「一生一殺法」(いっしょういっさっぽう)が制定された。それは、一生に一人だけ殺人が許可される権利。継父から虐待され続け、生きることに絶望した小学6年生や動物の虐待・殺害動画を流していた男に大切なペットを殺された家族、いじめにより、不登校になった女子高生から殺益申請がされた。これらが、受理されれば殺益執行委員が対象者の執行に向かうのだが―――。
まず言いたいのが、タイトルでめっちゃ損してる。内容を知らないとライトなデスゲーム漫画と勘違いしちゃう。なんでこんなタイトルにしたのかわからないです。。さておき、 「一生一殺法」という、12歳以上の日本国民ならば著しく心身に被害を被ったと認定されれば、誰でもその相手を殺すことが許される法律が存在する日本。 またこの法律に則り、これを"殺益権"と称し国民は行使できます。 ざっくり言うと、野崎まど先生の『バビロン』における「自殺法」の反対版と言ったら一番しっくりくるかもしれません。 こういう思考実験のような作品はとても好きです。そりゃ突けば矛盾点とか出てきますけど、それは野暮。 ちなみに作中世界では「一生一殺法」が抑止力となって実際に犯罪件数が減り、自殺大国日本もいまは昔、と描写されています。 3巻で完結ですが、非常に考えさせられる作品です。コンパクトにうまくまとめてあり、読み返すのにも丁度良いです。
by せーふぁ (1061)