刃森 尊(はもり たかし)は、日本の漫画家。代表作に『伝説の頭 翔』『霊長類最強伝説 ゴリ夫』など。
関東最大を誇る、ギャング・チーマー・暴走族の連合体「グランドクロス」のトップ、伝説の頭・伊集院翔。かたやクラスでもまったく存在感がなく、最下層のパシリ役・山田達人。最強と最弱の2人が偶然に出会い、人生を交換することになった! いじめられるだけの人生から、千人の不良が頭を下げるリーダーとしての人生! しかし狂犬・金山の出現で、早くも最大のピンチが訪れる!
カツオ遅咲きの高校デビュー!高校進学を機に、今までの暗い過去を捨て、夢いっぱいの明るい未来を築き上げる事を決めたカツオ。そして、めでたく(?)その願いも叶い新しい人生をスタートさせる事となった。しかし、それは、望んでいない自虐的アウトロー人生のはじまりなのであった……。
"破壊王ノリタカ"で、週刊少年マガジンの一時代を築いた刃森尊氏の次回作です。 ノリタカ同様ギャグのりのヤンキー漫画で、ひ弱でいじめられっ子の少年「浜田カツオ」が場違いなケンカに巻き込まれてしまい、奇抜な特訓を行って勝ち進んでゆく展開となります。 展開はノリタカに似ていますが、話が進むに連れて身体ができあがっていったノリタカと違い、カツオは最後まであばら浮きっぱなしの貧弱ボディです。 また、基本がキックボクシングで、異種格闘技をしていたノリタカと違って、カツオの相手はヤンキーであり、カツオ自身も特定の格闘技を身に着けていません。 ノリタカでは、強敵とのバトルで奇抜な特訓の種明かしがされ、合間に格闘技のうんちくが入っていましたが、カツオはそういった解説もほとんどないです。 そのため、ノリタカとカツオは似て非なる作品だと思いました。 狂犬のようなヤンキー、暴走族の総長、ストリートファイトの怪物と呼ばれるごつい面々と、ヒョロガリのカツオはタイマンバトルすることになります。 彼らに勝利するためカツオは修行するのですが、そのコーチ役は固定の人物ではないです。 最初はメル友のヤンキー松木君にアドバイスもらうのですが、中盤より女の子にバトンタッチ、以降は、修行という名の元に、以下にうまくセクハラをするかという内容になってゆきます。 一応、女性ですがケンカは強く、コーチングできる実力はあるのですが、修行内容は"ホクロの位置を特定する"とか、"声を出させる"とかです。 グレイのような矮躯のカツオがぴょんこら動きながら、修行と称して女体を見るわ触るはパンツを嗅ぐわで、もはや格闘マンガではなくなっています。 しかもコマのコピーが頻繁にされていて不要なコマも多く、文字が少ないのでパラパラと読めますがテンポがよくないです。 似た表情が多いですが、女の子はかわいくグラマラスで艶っぽい場面も多いので、エロい女の子を楽しむマンガと割り切って読むのが吉ですね。 ラストはバトル中にも関わらずいきなり数年後に飛んで終わります。 ノリタカのラストも似たような感じですがこちらはもっと唐突で、そこに至るまでのストーリーをすべて放り出しでいきなり数年後になったので、打ち切りだったのだろうなと思います。 全10巻ですがあっという間に読めるので、マンガ喫茶とかで暇つぶしに読むにはちょうどいい感じです。
by うにたべたい (525)死闘!激闘!悪戦苦闘!軟弱モヤシ男の蹴道(キックボクシング)物語!! オレは強くなりたいんです!!愛しい人のために――。 中学時代、ちょっとした失敗がもとで、苦闘の3年間を歩み続けた沢村ノリタカ。気分を一新させて高校生活をスタートするが、しょせんはやっぱり軟弱男。その正体はすぐにばれ、せっかくうまくいきそうだった隣の席のかわいい子、中山さんとの仲も赤信号。「弱い人嫌いなの」のひとことに一念発起したノリタカは、「強い男になりたい!」と蹴道部の門をたたく――。
90年代前半期、"金田一少年の事件簿"や"MMR"、"LET'S ぬぷぬぷっ"などに並んで、当時の週刊少年マガジンを支えた伝説的作品の一つ。 当時、週刊少年ジャンプでは"SLAM DUNK"や"幽遊白書"、"タルるートくん"、"ダイの大冒険"などが連載されていて、発行部数は600万部を突破していました。 それに健闘していたマガジンは、90年代後半に"GTO"や"サイコメトラーEIJI"などの人気作を連載し、マガジンの発行部数がジャンプを抜いて、マガジンは黄金期に入ります。 本作はその黄金期直前まで連載されており、黄金期の礎を築いたと言える作品です。 この頃のマガジンの連載作品はほぼヤンキーかスポコンの二択で、本作はその両方となる、ヤンキーでスポコンマンガです。 弱虫で貧弱な高校生・沢村典隆くんは、同級生の女の子・中山美樹に、「弱い人は嫌い」と言われてしまい、彼女を振り向かせるため、部員一人の寂れた蹴道部を訪れる。 蹴道部の丸山コーチの元、部員のチャンプアと一緒に特訓をして、次々と迫りくる強者との戦いに勝ち上がってゆくという展開です。 主人公はキックボクサーですが、相手はボクサーであったり空手家であったり、軍隊格闘技や中国拳法などを使います。 描かれる戦いは異種格闘技で、その道の強豪が、先日キックをかじった貧弱ボディの沢村に襲いかかります。 相手は皆、ガタイが良いマッチョマンですが、対する沢村はアバラの浮いたか細い肉体をしていて、普通に考えて勝てるわけはないのですが、丸山コーチによる奇抜な特訓による必殺技により勝利します。 特訓方法がめちゃくちゃで、犬のマネをして散歩したり、同級生のスカートの中を覗き見たり、ツイストを踊ったりなど、とても特訓とは思えない奇行に走ります。 それを聞いた対戦相手が笑い出すか、怒りに震えるのですが、それが実は特訓で、結果、繰り出す技に周囲が驚くのがフォーマットとなっています。 また、この時に出す技の説明などに、90年代初頭の時事ネタや流行ネタを交えることが多く、当時を知る方にはとても懐かしく感じると思います。 「れぇーさぁーひゃくぅ」とか、誰にも言えないの佐野史郎とか、歌手の小金沢くんとか、ニセヤキソバンとか、本作を読むまで完全に記憶の彼方でした。 ただ、全米ストリートファイト大会編の終盤では展開が急ぎ足となります。 トーナメント制なのですが、対戦相手を雑な技で一話で一人倒してゆき、トーナメント制なのに11回以上の戦いを次から次へとこなしてゆきます。 ラストバトルもいまいち思い入れの少ない敵が相手で、おまけにバトルの様子も描かれず終了しました。 一方で、ラストバトル直前の特訓、ラストバトル後の沢村らしい締めはとても良かったと思います。 ラストは賛否ある感じがしますが、テンポは良く、安定しておもしろかったです。
by うにたべたい (525)