森永ミキ

主人公が「海」という自分の名前のルーツを知るために、りえをはじめとする色々なクリエイターたちと交流しながらヨーロッパを旅する物語。

旅して回る各国のガイド役を務めるゲストキャラクターも内気なイタリア人だったりと魅力がある。
クリエイター側のキャラクターが多く登場する中で表現者特有の悩みがあるのとともに、そういったものを作れない海だからこそ抱えるコンプレックスもあるって対比になっていて面白い。
海の専門的な知識がないがゆえに難しい言葉ではなく、見て感じた素直でまっすぐな感想が響いてくる。

背景の描き込みも凄くて、写真を取り込んだんじゃなくて手描きだからこそのこだわりを見ることが出来てそこも見どころの一つになってる。

物語の中のキャラクターと一緒にその国を旅している気分になれるとともに、実際にも行って五感で感じてみたくもなる。

主人公の海が旅先で出会ったりえと共に自分の名前のルーツを探る
さらに現地では出会った人が名所を案内してくれるのだがりえ含むみんながクリエイターとしての悩みを抱えている、でもこれと言った特技の無い海から見たら羨ましくコンプレックスを感じる
しかし、海は無自覚のうちに彼女らを励ましており前を向いて歩く勇気を与えている、そのあたりに私は完動しました
またもりながさんの背景へのこだわりも強くほぼ手描きだというから驚きました。
それとところどころ入るデフォルメ絵が好み過ぎてやばい！かわいい！！(個人的感想です)
ps.マリアさんがタイプど真ん中

食べることが大好きでちょっぴり（？）抜けてるところがある和服少女の海と、絵を見るのも描くのも好きなしっかり者のりえが旅を共にする物語です。
この作品の魅力は、誰もが一度は耳にしたことがある有名な遺産が数多く登場するということだけでなく、その国ごとの案内人のキャラが登場するところです。文化や言語を深く知ることができるので、漫画を読むだけで海外旅行に行ったかのような充実感があります。更にもう一点、少し抜けていると表現した海ですが、彼女の純粋無垢な言葉の数々は、りえをはじめとする芸術を表現する側の人物の心に深く刺さります。成果を求められて自分の本当に表現したいことが分からなくなった、ということは案外どんな人にでも当てはまるかもしれません。ゆるく癒されるシーンと心に響く海のセリフのバランスが私は言葉にできないほど好きです。

登場人物の過去を振り返りながら未来を探す。そんな旅を共に見届けてはみませんか？