タコピーの原罪

タイザン5

3.68

-994

発刊:2022.03.04 〜

完結・全2巻

『タコピーの原罪(1)』巻の書影
『タコピーの原罪(2)』巻の書影
ななごんさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.68

1413件の評価

4.6

2巻まで読みました

『少年ジャンプ+』で連載されていた作品。
2021年12月から2022年3月までの3ヶ月間のみの連載でありながらSNSを中心とした口コミで話題になり、大反響を呼びました。

ハッピー星人のタコピーが、地球にハッピーを呼ぶため宇宙から飛来します。
地球に降り立つも身寄りもなく困っているところ、小学4年生の女の子「久世しずか」に救われ、その恩返しのためタコピーはしずかを幸せにするために力を尽くします。
タコピーはハッピー星に伝わる不思議な道具「ハッピー道具」を持っていて、様々な困難をハッピー道具で乗り越えようとします。
タコピーはタコっぽい見た目からしずかが名付けた名前で、語尾に「~ッピ」をつけた話し方をするのが特徴です。
地球文化を知らないため空回りすることもあるけど一生懸命なタコピーと、無口でおとなしいしずかちゃんの、設定だけ見るとドラえもんのようなマンガですが、ドラえもんっぽいのは設定のみで、内容は非常に絶望的に暗いです。

しずかちゃんは家庭環境に問題を抱えており、学校では壮絶ないじめにあっています。
父親は不在、母親は帰ってこず、ゴミ屋敷のような家でほぼ一人で暮らしています。
タコピーという不思議な生き物にも、その不思議な道具にも興味を示さず、いじめっ子のまりなちゃんの暴力を恐怖して過ごしています。
彼女の心の拠り所は、飼っている犬のチャッピーなのですが、ある日、事件が起き、しずかちゃんが人生に疲れ果てて諦めてしまったところから物語が始まります。

メインとして3人の少年少女が登場するのですが、彼らは皆、親に問題があり、逃げ場のない閉塞感の中にいます。
そんな現代社会の闇といういうべき環境の中に、空気の読めない落書きのようなフォルムのタコ星人が皆をハッピーにしようと躍起になる様は、ある意味で狂気を感じました。
空気感は独特で、惹きつけられるストーリーだと思います。

話数は短いですが、登場人物の過去のストーリーに飛んだり、途中タイムリープも発生するので、何度か時系列がごっちゃになりそうになりました。
また、内容に考察の余地があります。
ストーリーにひねったところがあるので、リアルタイムで連載中の作品をSNSで共通の話題にできるというライブ感も相まって流行った部分もあったのかなと思います。
ただ、方々でも言われているのですが、話の雰囲気が暗く、人におすすめできる作品ではないです。
いじめや毒親からの罵りにトラウマがある方は読むのが辛くなる可能性もあるので注意が必要です。

ラストは個人的には好みの終わり方でしたが、賛否があると思います。
悲惨で残酷な展開が繰り返され、絶望のまま終わるわけではなく、きちんとオチがついているので、そういう意味では安心して読めます。

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