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くらもちふさこ
3.59
1329
新刊通知
発刊:2003.08.01 〜
完結・全8巻
17件の評価
うにたべたい
4.5
くらもちふさこ氏の代表作の一つ。連載終了の数年後になる2007年に実写映画化され、話題になりました。とある山間の農村が舞台です。その村は住民全員が顔見知りなほど人口が少なく、最寄りの駅までバスで20分かかるが、駅に向かうバスは2時間に1本しかない。海が近いので魚介類はよく食べるが、肉を口にする機会がなかなかない。そんな田舎の学校に、ある日、東京からの転校生がやってきます。主人公はこの村に生まれ育ってきた中学生・右田そよ。初めての同学年、しかも男の子の転校生ということで期待に胸を膨らませるそよだが、東京から来た転校生・大沢広海は垢抜けて大人っぽかった。はじめ萎縮していたそよだが、ストレートでデリカシーのない広海の物言いにそよはムッとする。そんなこんなで生まれや育った環境が全く違う二人は、ケンカをしながら、やがて恋人として付き合い始めるという展開です。そよと広海の両親同士の秘密の過去や、そよのことを気にしている村の青年・シゲちゃんの存在、マンガ家を目指して投稿を続ける友人など、枝葉となる伏線のようなものはありますが、基本的には大きな縦筋はなく、その田舎村での日々を描いたものとなっています。6年ほど長期連載した作品で、その間に主人公が進学したり、一時的に広海が東京へ帰ったりといったイベントはありました。少女漫画で進学すると、新しい学校で新しいクラス、新しい友達、出会い、イベントが待っているものですが、やはり高校も田舎町のそれでとなっています。全体的にキラキラしておらず、そよの彼氏であるはずの広海もどこかフラフラしていて、少女漫画の理想の彼氏像という感じではないです。それよりも街の風景、どことなくのんびりした雰囲気、日常描写が丁寧で、それだけで一話費やすことも珍しくないです。恋したり離れたりといった恋愛模様は描かれるのですが、それを含めて日々の時の流れが描かれた作品だと思います。終盤、そんな二人の日常が、緩やかに終わりに向かっていきます。最終回の前の回が、とあるブサイクな猫を追った話になっていて、猫の一日で終わるのかと思ったら、その最後がすごくうまかったです。始まりも終わりも、そしてまた始まるときも自然な流れで描かれており、ニワトリは変わらずに厩舎でコケコケしているという、そんな話でした。
ほしがた
girl vs city
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