たや さんのレビュー

正直面白いとか言うレベルではない。
1話からハイレベルで進んでいて、中弛みもなく、過去編にも違和感がなく、邪魔な存在もいない。緊張しすぎている本編を紛らわせてくれるオマケ4コマも面白い。
死生観、人間についての切り込みがすごくて、昨今簡単に死んでいく漫画が多い中・・・こうしてちゃんと人とはなんなのかを示す主人公は、模範として素晴らしいと思う。

どんどん読み進められる面白さがある。作画は荒い部分もあるけど、魅力的で割と好み。
個人的にはラスボスも含め敵キャラが、「信念」という観点でやや劣る印象。悪ではあるが、それがなぜ悪たるのか、各々悪でありながら、さいごまで(味方にとっての)悪役を貫くことがなかったのが、個人的な趣向としてはマイナスだが、それが主人公の良さを引き立てる素材でもあったので、うーんなんとも難しい。
賛否両論ある最終話は、主人公がこれまで目指してきたことを考えて、天晴れ。

正直このマンガは何がいいとかではない。
作者のセンスがスゴイ。
S級のB級映画をテンポよく供給してくれてる感じ。
第二部にも期待。

6巻現在。
シリアスにもコメディにも活かせる設定を、とことんやりきっていて、毎話読んでいて楽しい。ストーリーとしての進展はやや遅い印象なので、黄昏の目的がどう果されるのか？家族はどうなるのか？何も考えずに読み進めたい作品。

ただの敵と闘う話ではない。
敵とはなんなのか、敵はなぜ「敵」としてそこに立ちはだかるのか？どファンタジーでありながら、他人事と思えない恐ろしさがそこにはある。
この漫画を読むことができる時代に生まれたことを心底嬉しく思う