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泥んじょ
5.0
すごく中二病的な表現になっちゃって恥ずかしいんだけど、「夜」の万能感とか無敵感、解放感や闇に溶け込む安心感って、夜ふかしをしたことがある人なら、深夜誰もいない道路の真ん中や人気の無い町で、大なり小なり感じたことがあると思う。『よふかしのうた』はそんな「夜」の持つファンタジー性を、日常の中の非日常感を、繊細に、大胆に、エモーショナルに描いたおとぎ話のような作品だと思う。レールを踏み外し、不眠に悩む中学生男子コウの前に現れた美しい吸血鬼ナズナ。彼女は言う。眠れないのは今日という日に満足していないからだと。重ねて言う。今日に満足できるまで夜ふかししてみろよと。「遊ぼうぜ少年」「夜は遊ぶものだ」「夜」の住人そのものであるナズナに誘われ、日常から一歩はみ出したコウ。彼の望みは吸血鬼になること。そのためには彼女に恋をし、彼女から吸血をされなければならない。コウとナズナの健全で不健全な夜ふかしライフが、今、始まる。。。って、実はもう3巻まで出てて、もうじき4巻も出る微妙なタイミングのレビューとなってしまいましたが、微妙なのはあくまでレビューのタイミングだけ。前々から気になっていた貴方がこの作品を手に取るには実は絶妙のタイミングだったりします。アニメ好きには有名な「3話の法則」。先にネタバレしとくと、誰も死にゃあしませんよ。でも3巻から化ける、3巻から面白さが天元突破するという意味において、まさしく『よふかしのうた』はまるでアニメ化が約束されているかのように、「3話の法則」が当てはまります。ハッキリ言って1、2巻もメチャクチャ面白いんですよ。誤解を恐れず言うならあのぬるま湯のような恋愛・・・あえて言います「ごっこ」や「好き」について、友達について悩む優しい時間は「夜」を愛する、「夜」にどうしようもなく親しみを覚えてしまう私にとっても、とても居心地の良い空間で、時間でした。あのままゆるゆると「夜」の中でモラトリアムを過ごし、その中で成長していくコウやナズナを見たい。今でもそう思う気持ちがどこかにあります。でも3巻を読んでしまうとね。とある「縛り」がピリッとスパイスのように物語を引き締めて、個人的にはとても衝撃的かつ最高に面白ヤヴァイ作品に化ける瞬間を目の当たりにしてしまった気持ちです。血に「夜」を溜め込む。その本当の意味はまさしくここから。今こそが絶好の読み時です。ぜひ『よふかしのうた』を手にとってこの衝撃を共有してほしい。私は大名作に化ける瞬間を見たと信じています。
よふかしのうた
レビュー(700)件
完結・全20巻
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