それでも町は廻っている

石黒正数

4.28

16636

発刊:2006.01.27 〜

完結・全16巻

『それでも町は廻っている(1)』巻の書影
『それでも町は廻っている(2)』巻の書影
『それでも町は廻っている(3)』巻の書影
『それでも町は廻っている(4)』巻の書影
『それでも町は廻っている(5)』巻の書影
『それでも町は廻っている(6)』巻の書影
『それでも町は廻っている(7)』巻の書影
『それでも町は廻っている(8)』巻の書影
『それでも町は廻っている(9)』巻の書影
『それでも町は廻っている(10)』巻の書影
『それでも町は廻っている(11)』巻の書影
『それでも町は廻っている(12)』巻の書影
『それでも町は廻っている(13)』巻の書影
『それでも町は廻っている(14)』巻の書影
『それでも町は廻っている(15)』巻の書影
『それでも町は廻っている(16)』巻の書影
しぇいきさん、他2人が読んでいます

この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.28

384件の評価

5.0

16巻まで読みました

愛されキャラの歩鳥が、商店街や高校の人たちを巻き込んで織りなす青春群像劇。

箸が落ちても笑う多感な頃、ちょっとしたことで一喜一憂したり、不思議なことが起こったり。
自分の過ごしてきた学生時代の心象風景を想起させるような、細やかで暖かな描写が心に刺さる。
ときどき途中で本を閉じて思い出に浸ったりしました。

楽しさ暖かさがベースで、不思議さや怖さも含まれてるのがこの物語の素晴らしいところ。
溝口先生めちゃ怖かった。

あと、「商店街の人たち」が物語の中心にいるのが、この作品の妙だと思う。
学校中心で同世代の人たちとの関係を描くだけでなく、色々な大人を巻き込むことで生まれるドラマは他にはない無二の面白さがある。

歩鳥をちっさい頃から知ってるばーちゃん、
ガタが来て店を閉じるラーメン屋の店主の話、
よくわからん方向に歩鳥を導く静、
いつもうるさいけどいざってときは頼りになる大人の3バカ親父トリオ。

お互いを昔から知ってる大人の視点が混ざることで、
「今まで」の歴史・思い出があっての
「今」なんだなぁ
ということが実感できて、味わい深い。

今のこの楽しい時間はやがて終わるけど、また新しい楽しい時間がやってくる。
そんな未来も想像させられる。
それでも町は廻っているのだ。

「『変わらない』とかそんなことより、何倍も尊いよ。」

天才肌で音楽好きでスタイル良くてツンデレで怖がりでオカルト好きな紺先輩がめっちゃ好きです。

4.8

16巻まで読みました

東京の下町を舞台に、そこで生まれ育った女子高生「嵐山歩鳥」を中心とした日常系マンガ。
数話にまたがるストーリーもありますが基本的に一話完結形式で、歩鳥の周囲で起きる何気ない日々が描かれるものとなります。

本作の面白さは文章で伝えるのがすごく難しいです。
"何気ない日常"を描いているのですが、その日常の範囲が多岐に渡っていて、町内会で起きる小さな事件や、友人や弟の恋愛劇、実は幽霊や未知の生き物が関わっていたというファンタジー展開もあります。
ただ、それらの出来事により全体のストーリーに影響を与えることはほぼないです。
作中で流れる時間は歩鳥の高校生活3年間のみで、色々な出来事は起きますが、それによって現実的にありえない方向に舵が切られることはないです。
例えば、序盤に歩鳥のアルバイトをしている喫茶店のオーナーの死別した夫の幽霊が出てくる話がありますが、その幽霊は作中登場キャラクターに気づかれることはなく、歩鳥の日常に関わることはないといった感じです。
非日常だけど、あくまでも日常の中で生活している歩鳥と仲間たちの日々が綴られます。

ただ、普通に読んでいると、数話で読者は違和感を感じます。
わかりやすいところで、6巻で歩鳥の髪型がベリーショートになってしまうのですが、次の話では髪型がもとに戻ります。そして、数話後でまた同じ髪型になっています。
話が時系列ではなくシャッフルされていて、それでよくよく読んでみると、どこか話がつながっていることに気づくわけです。
例えば、歩鳥の友人でひとつ上の「紺先輩」は11話で登場するのですが、よく見ると3話のモブに紺先輩がいて、11話で歩鳥を以前目撃したことを告げています。
また、気づいたらぎょっとするのですが、時系列的には後で出てくる幽霊が、よく見ると別のストーリーの一コマにいたりします。
文化祭の劇の話やバンドを組む話、放火魔の話など、各所にパズルのように分解されたストーリーのピースが散りばめられていて、10年以上の長期連載の中どうやったらこんなプロットができるのか驚く作りになっています。
初期に描かれたストーリーが実は時系列的には後半の話で、最終回につながっていたことが後でわかるような話もあり、読み終えた後で時系列順に読み返してみるのも楽しい作品だと思います。

ラストは"それ町"らしい終わり方でした。
気づいていたのかと、そういえばそういう伏線は何度もあったなーと思いました。
後で、『どこでどうやって』と考察する余地も与えられているあたり、読者を探偵に変えさせてくれる終わり方だと思いました。
よくある日常系と思いきや、かなり深い作品です。

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