この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
4.16

1354件の評価

3.5

10巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

読む前はここまで重厚な哲学、人間を描いた作品だと思わないで読み始めたので驚きを禁じ得なかったし、寄生獣というリアリティのない存在を通してここまでリアルな生物としての価値観を考えさせられる内容になっているのは圧巻でした。
むしろ寄生獣という異物が出現することで人間の存在価値のアジェンダを人間の主観から外れて取り扱うことができるのだと
もちろんただ哲学、真理を説くだけならそれに関する学問書を読めば良いだけであるが、この作品はそれらがしっかりストーリーと照らし合わせて説かれており、すんなり読者の思考に入り込んでくる点が素晴らしく、単純なエンターテイメントとしても成り立たせているところがこの作者の手腕によるものだと思わせられます。
少年漫画的な爽快感のあるモノではないが、知略的な要素をもつ異能バトル漫画として面白く読めるし、乗っ取られた主人公の思考と周りの反応が変化していくサマや社会が動かされていく様子がちょっとしたパニックホラー感もあって楽しい。
しかし終盤ミギーとの友情が軽く描かれていたが、自分にはあまり納得できずその点だけ少しモヤモヤ
このバディは価値観が異なりながらも様々な戦闘や困難、問題に立ち向かっていく、しかしやはりそこまで入り込んだモノではないドライな関係だと感じていたが、ミギーとの別れが感傷的に表現されていたのはしっくりこなかったのは自分の読み取りが甘いからだろうか…
また、これは仕方のないことだがやはり時代背景の古臭さと漫画としての表現のクセは強く、今どきの人が読むには少しツライかも
しかし扱っているテーマはこの現代でも深く考えるに値するモノなので読むべきことには変わらない名作

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