この漫画のレビュー

5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
3.92

211件の評価

4.5

憧れのアイドルがCMで着ていたセーラー服に惹かれ、セーラー服での学校生活を夢見ていた主人公の明日小路(あけびこみち)が、難関の中学受験を経て母親の母校でもある私立の蠟梅学園に入学する。
ただ昔と違って学園の制服がブレザーになっていたため、特例として認めてもらい一人だけセーラー服で学園生活を送る事になる。

導入としては上記のような流れになりますが、全体的なストーリーとしては大きな起伏がある展開というよりも、主人公の小路を中心に他の15人のクラスメートとの学園生活や何気ない日常生活を描いた内容となっています。しかしながら小路は小学校時代を一人学級で過ごしてきており、中学で初めて同級生と過ごす事になるため、クラスメートとの関わりであったり、日常の出来事ひとつひとつに対する喜怒哀楽やリアクションが大きく、何気ないはずの日常風景がこんなにも輝かしく楽しいものなんだなと思わせてくれます。

また、タイトルに「セーラー服」と付くように、とりわけ服飾の描写がとても丁寧なのが印象に残ります。たとえばセーラー服のリボン一つとっても結ぶ様子を分割して描いたり、スカートのプリーツなど細かい部分の描写にもこだわりが見え、作中では随所で全身が見える構図が見られるのも特徴です。

コマ割りにも独自色があり、たとえば体操選手のようにロンダートからの宙返りをする様子を連続した描写で大胆にコマを使って表現していて、ダンスの描写や着替えの描写などでも同様の手法で流れるような、マンガなのにアニメーションを見ているかのように思わせる独特の表現をしているのも面白い点だと思います。

他にもキャラクターの髪の描写や表情の描き方もとても繊細で、中学生なのにどこか艶めかしさをも感じられる場面が随所にあるのも魅力です。舞台である女子校ならではといえるのか、ちょっと百合っぽさを含んだ部分も時折見られるのもいいアクセントとなっているように感じます。

他では見られない独特な描写のある作品で、天真爛漫な小路が今後もどんな学園生活や日常を送っていくのか、楽しみとともに見ていきたいなと思わせてくれる作品です。

5.0

6巻まで読みました

少女の鮮やかな日常を丁寧で力いっぱい描いた作品です!!


 田舎の名門中学に通う1年生、明日小路ちゃんとその周りの人たちの日常を描いている作品です。田舎で自分以外に同級生がいなかった明日ちゃんが中学に入って友達を作り、遊んだり学校行事に一生懸命になったり旅行に行ったりと、たくさんの「初めて」を経験していく、そんな明日ちゃんの鮮やかで初々しい日常を一緒に体験することができます。

 主人公の明日ちゃんは元気いっぱいのとても良い子で、その行動力と無邪気さが素敵です。遊びも学校生活も常に全力、そんな明日ちゃんが可愛いです!明日ちゃんの周りの人たちも魅力的で、優しい家族や個性豊かなクラスメイト、みんな明日ちゃんが好きで明日ちゃんもみんなが大好きで、みんなとの交流を通して明日ちゃんの毎日が彩られていきます!

 この作品はキャラクターの「動き」をダイナミックで丁寧に描いており、時には数ページにわたってたっぷりと描写される明日ちゃんの元気いっぱいな動作は圧巻です。まるで連続写真のように動きの一瞬一瞬がスローでじっくり描かれていて、初めて読んだときはその迫力に圧倒されました。明日ちゃんが持つ元気で活発な雰囲気が読んでて伝わってきます!また、笑顔や泣き顔などの表情も丁寧に描かれており、キャラがとても生き生きとしています!

 言葉だけでなく、表情や動きなど、全身を使って全力で気持ちを表現している明日ちゃんがとっても可愛いです!友達や家族とたくさんの出来事を経験して全力で日々を楽しむ明日ちゃんの日常をぜひ読んでみてください!!読めば必ず明日ちゃんが好きになります!!

5.0

6巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

いま追ってる漫画のなかでいちばん好き。

ストーリーに大きな起伏はなく、言ってしまえば本当にシンプルなひとりの女の子の中学生活。
それでも、超作画の中にぎゅっと閉じ込められた「成長中の中学生」の味が、最高。
嬉しい!悲しい、楽しい…!を全力で表現する明日ちゃんと、その一瞬を全力且つビビッドに切り取る博先生の画力にとにかく脱帽です。
(コミスペさんのインタビュー拝読いたしましたが、博先生はアニメーターを目指されていた過去があるとのことで大変納得。ツイッターにもよく動く明日ちゃんを載せられているのはそういうことからなのですね。)

この作品には「モブ」なんて1人もいない。明日ちゃんとその友達ひとりひとりに対して髪、まつ毛、筋肉の形や指・関節の向き、布の素材の違いや流れの表現に真摯に向き合う姿は、執念さえ感じました。
こと、博先生が絶対に絶対に「明日小路」という女の子のことが大好きで大好きで大好きで、かわいく描きたくてしょうがないんじゃないかな、みたいな気持ちが、絵の全てから伝わってきます。

こんな描きかたをされてしまえば、わたしは明日ちゃんとそのクラスのみんなを、
好きになる以外を選べない。

赤ちゃんみたいにいろんな初めてに触れて、一瞬の全てをキラキラに生きる明日ちゃんが、とにかく愛おしい。
「この子が素敵な友達に恵まれて、楽しく学校生活を送ってる姿を見られるのがとにかく嬉しい!」とか、
「あぁこの子、この話の中でどんどん成長してるんだなぁ、大人になってしまうんだなぁ、こんなにかわいいからこのままでいてほしいなぁ」とか、
それはまるで、子離れできない母親のような寂しさを感じてしまうくらいに。


そして明日小路は、かわいいだけではない。
妹の花緒が言うように、かっこいいんです。
誰もが大人になる途中でなくしてしまう素直さ、誰にでも分け隔てなく接することができる優しさ、愛にまっすぐである強さ、過疎地域で育ったが故の純粋無垢さ。
特に明日ちゃんの純粋さが友だちの傷をすくいあげる6巻は、涙なしには読めませんでした。


これから「明日小路」はどんな女性になるのだろう。そんなことを読みながら時々考えます。
どうか出来るだけ不要且つ理不尽な不幸は訪れず、暖かい人々にめいっぱい愛され、時に必要な困難や壁は周りの人の助けを借りて乗り越えてほしい。
このまま、絵に描いたような「天真爛漫」を失わない女性になってほしい。
そしてその過程を、これからも私はきっと追い続けずにいられないと思います。
(…この漫画を通して初めて、「母性」という感覚を理解しました。笑)


明日小路、かわいさカッコよさ強さ優しさ全部持った令和最強ヒロイン。
博先生、漫画家になる道を選んで、この子を産んでくれてありがとうございます。
兎にも角にも、大好き。ずっとずっと応援しています。



(余談①「お父さん」の存在がきちんと描かれているのもまたいいです。
こういう女子高の学園モノって、「男性」の存在がないがしろにされがち、女の子たちはまるで妖精さんから生まれたファンタジーの住人^_^みたいにされがちなので、
5巻でお父さんとお母さんの仲睦まじいシーンがきちんと描かれていたのも本当に良かったな。
あの瞬間だけで、「明日小路と明日花緒という女の子は、ふたりが愛しあったゆえに生まれた、きちんとした人間なんだ」と、一気に輪郭がはっきりとした気がした。)


(余談②、37話プリクラのイラストは初見時マジで震えた。
博先生の描く明日ちゃんのカラー絵といえば、コントラスト浅めのじゅんわりとした水彩カラーが印象的ですが、プリクラのカラーだけはぱっきり、マットなツヤのある、どちらかといえばデジタル塗りっぽい雰囲気。これ完全に「プリクラの質感」に寄せてるんですよね…?!
そしてこの4人のポーズ、「プリクラ」とか「写真」に慣れ親しんでる人、そうでない人のポーズの差の細かさよ…。
とにかくこのたった一枚に凝縮された博先生のこだわりに圧倒されたのを鮮明に覚えています。)


(余談③、博先生の描かれる世界観、京都アニメーションの山田尚子監督のそれに近いのもあって大好き。
足の描写に力を入れているところとか、「女の子の世界」の作り込み具合とか…言葉にできないけど、めちゃくちゃ近いものを感じます。
以前博先生のpixivでけいおん!の唯と澪を描かれてるのを見つけたことがあるので、山田監督作お好きなのではないかな、、と勝手に推測中。
明日ちゃんのセーラー服がアニメになる時は、山田尚子監督の手でフィルムになってほしい、京アニは事件もあっていますぐは難しいけど、できるならそれをずっと待っていたい…という欲望を三ヶ月に一度くらいツイートしています。笑)

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