酒飲みの父、貧しい家。不幸を仕方ないとあきらめ過ごす高校生の敦子は、ある日、自分とは正反対の世界に住む大金持ちの男子高校生・至・遼・信也と出会ったことで運命が反転。敦子が自分に瓜二つなことに気づいた、乃木グループの跡取り息子・至によって、至の身代わりに仕立てられてしまう。疾走した至の代わりに「王子」となった敦子が、「宮殿」の中で得たもの、そして失ったものとは……? 人気急上昇の作家・山中ヒコが描く、切なくも美しい純愛ストーリー!
ボーイズラブ方面で活躍されている 山中ヒコ先生の初の少女漫画 タイトルから灰かぶり姫よろしく シンデレラストーリーなのかと 思ったら…敢えて言うなら リボンの騎士? 借金苦の父親に 風俗に 沈められそうになった JK・敦子が選んだバイトは 3ヶ月やり通せたら100万円 失踪した王子様の影武者。 その王子とは 乃木グループの御曹司・至。 彼には誰にも言えない女装の趣味があり 趣味の世界で生きるため 厳しい灰色の日々を送る家から飛び出したのでした。 他の主なメンツは 敦子が、シンデレラよろしく靴が キーアイテムになって惚れる信也 敦子を至の影武者へと仕立てあげる 教育係の遼(りょう)。 この物語は人を好きにることが 不幸だと決めつける敦子。 そして3人の王子たちが 乃木家のゴタゴタ、 複雑な人間関係の荒波に揉まれながら それぞれの 己のキラキラした 「好き」「しあわせ」と向き合うお話。 敦子は至になりきるために、 長かった髪をばっさり切り、 慣れない社交界のルールを叩き込まれ 至の知り合い全員を記憶したり 声を低くするためにタバコを吸ってみたり、 筋トレをしたり・・・ 貧乏な自分からは眩しく見えていたのに、 その実、灰色な日々に 立ち向かいます。 3ヶ月やり過ごせばいいだけなのに どうしてここまでするんだろうか… ここまで出来るんだろうか その理由が巻数を追うごとに 変化していくのがいいんですよ そして恋愛方面ですけれどね 始めにご紹介した通り、BL界の先生な上に 恰好から男女逆転してるわけでして… それはもう普通の少女漫画のようにはいかない… いや、実はものすんごく複雑に見えるけど 紐解くと王道でまっすぐな少女漫画。 その辺りのドキドキも楽しんで頂ければと思います。 自分のお気に入りキャラはこの手の豪邸モノに付き物。 至のお爺さん執事の渋沢さんですね。 この渋沢さん筆頭に至周りの人が至をどれだけ好きなんだってところにね グッとくるんですよ ※こちらのレビューはYoutubeにアップしている音読レビューを 文字起こし、修正したものです https://youtu.be/dzoH0u6B4Kc
by 相田コメゾウ (268)ボリス・ヴィアンの小説『うたかたの日々』を原作にした、岡崎京子によるコミック。雑誌「CUTiE」の連載(1994年~1995年)後に、著者がプロローグ、ラストを描き加え、全体に加筆修正したもの。 <p> 「ちょっとした財産もち」のコランと軽やかで美しいクロエ。ふたりは盛大な結婚式を挙げるが、そのすぐ後、クロエは肺に「睡蓮」が巣食うという奇病に侵される。治療費のために破産に追い込まれながら必死に看病するコラン。だが、クロエは日に日に衰弱していく。そして、ある作家の偏執狂的コレクターのシックとその恋人アリーズ、コックのニコラなど、周囲の人々の人生も深刻な様相を呈していく。 <p> 原作ともども、この作品の魅力のひとつは、残酷さと無邪気さをあわせもつ幻想的な描写の数々にある。恋するふたりを包む、熱くてシナモンシュガーの味がするバラ色の雲や、土から生えてくるたくさんの銃身、そして、クロエの胸から伸びて咲く睡蓮の花…。原作を知る人にとっては違和感をおぼえる場面もあるかもしれないが、彼女の目をとおして、ていねいに描かれたヴィアンの世界を、特に前半は、ただ楽しみたい。後半に入ると、破滅へ向うコランたちの姿が現実をぎりぎりのところで生きる岡崎作品の登場人物の姿と重なり、物語は一気に走り出す。 <p> 凝った装丁も、本書をより魅力的なものにしている。白い箱から真っ赤な本を取り出せば、表紙には睡蓮の花。しゅるりと勢いよく伸びるその姿は、恐ろしくて、美しい。(門倉紫麻)