秋本治氏お得意の、下町の大工を舞台とした人情漫画です。 短編集ではなく、表題の「東京深川三代目」の5話分(プラスおまけ)が乗っており、本巻1冊で完結となっています。 さらに秋本治作品には珍しいことに、ラストはドタバタで落とさず、きれいな形で終了させている作品となっています。 東京都深川区にある大工の3代目として生まれた立花静は、女子高生であるにも関わらず、下町の荒っぽい大工衆をまとめ上げるほどの器があり、段取りがよく、また、大工としての腕前も超一流の腕を持ち合わせている。 現役の棟梁である祖父・立花徳兵、気弱な父・立花墨つぼと共に、様々な事件をその気風の良さで解決していくというストーリー。 1話1話が象徴的で、読んでいい気分になれる作品です。 また、秋本治作品らしく、しっかりとした調査の上で描かれています。 現場のことももちろん、道具やしきたりについても違和感一つ感じさせず、また桐箪笥や石油ストーブ、ブラウン管のテレビなどの小物一つとっても、下町の一家らしいフォルムが守られており、このような作品は今後現れることがないのかもと思われるくらいうまい作品です。 個人的に、これまで読んだこち亀以外の秋本治作品の中で2番好きな作品です。 ちなみに1番好きなのはMr.Cliceですが、長らく休載中なので、早く再開し、こちらもきれいに終わらせてほしいと願っています。
by うにたべたい (528)田岡一雄組長の指揮の下、全国制覇を成し遂げた三代目山口組。巨大化した組織はしかし、内部に微妙な軋轢を残していた。急逝した梶原清晴若頭の後任選出に絡み、新若頭に選ばれた山本健一とボンノこと菅谷政雄若頭補佐の間に、遺恨が残された。そんな折、山口組が制圧していなかった大阪で、戦火が上がる。地元の博徒・松田組が敢然と巨大組織に叛旗を翻したのだ。戦闘組織・大日本正義団を擁して攻勢をかける松田組と、一歩も引かぬ山口組。数では劣勢の松田組は、乾坤一擲の攻撃を計画する。それが田岡一雄三代目組長の襲撃だった。大日本正義団・鳴海清の凶弾が田岡組長を襲う。襲撃は失敗したが、組長襲撃の報に山口組若頭・山本健一、通称山健の怒りは爆発する。松田組全滅を期して、配下に猛攻指令を発した山健。しかし組長の説得に折れ、一方的な抗争終結を宣言、強引な幕引きを行った。神戸山口組の、実録巨編。