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『新サラリーマン金太郎』の書影

新サラリーマン金太郎

3.36

876

発刊: 2009.7.3 ~

完結・全7巻

負けんな!! サラリーマン 『新サラリーマン金太郎』がついに登場!! 世界的大不況にあえぐヤマト建設がついに倒産!! 古巣の危機を救うため、ニッポンサラリーマン矢島金太郎が、ヤマト建設に帰ってきた!!

サラリーマン金太郎シリーズ3作目。マネーウォーズ編の続編です。 スケールの巨大さは相変わらずで、一介のサラリーマンでは動かすことにない巨額の資本や、権力者を相手取った展開が繰り広げられます。 マネーウォーズ編から2,3年ほどの休載を経た続編で、その間、金太郎は、ナミビアの投資庁で手腕を振るっていたとなっています。 ナミビアから帰国して久しぶりに出会う家族の元、のんびり過ごそうと考えていた金太郎ですが、龍平・伊郷・黒川という3人の元社長に懇願され、倒産間近のヤマト建設の立て直しのため、ヤマト建設の社長に就任します。 以降は、いつもの金太郎で、ヤマト建設の倒産回避に貢献すると、その後、政治献金の発覚から3兆円の脱税の罪で投獄され、出所後には出版社の社長就任となります。 素早すぎる決断と大胆な一手により、多くの人の信頼を得て一気にプラスへ舵を切るのですが、マネーウォーズ編同様、これからというところで退陣します。 一番大変な部分だけを請け負い、せっかく立て直した巨大な城をあっさり他人に明け渡すので、金太郎が不憫な気がしました。 0を1にしたのであれば、それを10にも100にもして育てたいと思うのが人情だと思うのですが、どうも金太郎はいいように使われているだけのような気もしてきます。 マンガとして面白いのですが、ポジションに腰を下ろし、業界展望を見据えて事業継続する金太郎も見てみたいと思います。 各業界を飛び回るのですが、数字関連のところは難しくて読み飛ばしてしまったというのが正直なところです。 それでも破天荒な金太郎の振る舞い、めちゃくちゃだけど理にかなった指示は、テンポよくて読みやすく、楽しく読めました。 前作のマネーウォーズ編よりは比較的理解しやすい内容だったように思います。 なお、新サラリーマン金太郎には、"新サラリーマン金太郎 順不同"という番外編も収録されています。 数話程度で完結する短編なのですが、突然、金太郎の暴走族時代や新社会人時代、少年時代などへ舞台が切り替わるので、知らずに読んでいたときは驚きました。 また、"順不同"は、細く設定を追うと矛盾があり、パラレルワールドという設定だそうです。 パラレルワールドといっても、ifの金太郎が描かれるわけではなく、設定や細かいことを気にしなければ、単純に金太郎の若い頃のストーリーとして楽しめます。 "順不同"も含め、でっかくて熱い男のマンガです。

by うにたべたい (528)
『サラリーマン金太郎 マネーウォーズ編』の書影

サラリーマン金太郎 マネーウォーズ編

3.39

461

発刊: 2006.3.3 ~

通常版・他1作品

あの『サラリーマン金太郎』が帰ってきた!!“ニッポンサラリーマン”矢島金太郎が転職した先は、グローバルにビジネスを展開する外資系投資銀行・インターナショナルバンク(INB)日本支社。INBの会長を務めるのが自らの親族、グレート・モーガンであることはおろか、外資系銀行がどんな仕事をするのかすら知らず、面白そうという理由で面接を受ける。INB日本支社CEOを務める田崎紘一は、金太郎の脳が運動神経でできていることを察知し採用を決めるが……。「サラリーマンとして、ありとあらゆる仕事をしてみたい」と言う金太郎は、はたして外国為替ディーラーとしてどんな活躍を見せるのか!?

サラリーマンとなった元・漁師「矢島金太郎」を主役に据えたビジネスマンガ『サラリーマン金太郎』の続編です。 サラリーマンが主役のマンガは多々ありますが、金太郎の行動は破天荒を通り越して現実味が無く、他と一線を画したものとなっています。 タイトル通りマネーウォーズを繰り広げるのは本作中盤までで、以降は別業界になっています。 サラリーマンにこだわり続けていた金太郎ですが、本作ではサラリーマンと呼ぶには大きすぎるポジションについており、後半では"サラリーマン"でも、"マネーウォーズ"でもなくなっています。 そのため、一般的サラリーマンとしてのしがない生き方、あるいは活躍の仕方を学ぶことは本作ではできないと思います。 もし金太郎の生き方を参考にサラリーマンをしている方がいれば、それはよほど大物か、あるいはクビ直前かのどちらかですね。 マネーウォーズ編の序盤は『マネーウォーズ編プロローグ』として別作品となっています。 『サラリーマン金太郎』の続編作品ですが、本作の前に"プロローグ"を読んでおく必要があります。 金太郎は『サラリーマン金太郎』の終盤でヤマト建設を退職し、『プロローグ』で外資系投資銀行会社・INBに転職します。 そこで、外国為替で兆円単位の利益を出し、100億ものボーナスを得ますが、その金にそれほど興味もなく、釣りなどをして日々を過ごしていました。 そんな折、銀行役員に呼び出され、金太郎はファンドマネージャーになることを誘われます。 金太郎は、金太郎ファンドを立ち上げ、再びマネーゲームの世界に飛び込んでゆくが、彼の前に世界的な投資家「ジョー・ロス」が立ちはだかる、という展開です。 作中では国家が買えるほどのお金が飛び交っていて、一介のサラリーマンが動かせる金額を飛び越えていきます。 内容も難しく、投資の知識が無い私には、正直なにがどうなって勝利した、あるいは敗北となったのか理解が追いつきませんでした。 展開は非常に早く、テンポが良くて読みやすいのですが、そもそも投資に興味がない私のような人向けではなかったですね。 それこそ外資系投資銀行に勤めている方が読めば面白いかもしれないですが、外資系投資業界に暴走族上がりの元漁師が飛び込むという異色のマンガなので、ストライクとなるターゲットは狭いかもしれないです。 マネーウォーズ編は中盤までで、中盤以降、金太郎は高知の港町で漁師に戻ります。 とはいえ漁師マンガになるというわけではなく、今度はその高知の町の立て直しに尽力する展開となります。 個人的にはマネーウォーズ編よりこちらの方が面白かったです。 メタンハイドレートに着目して、具体的に収益を上げるプランを立てる展開は現実味のある夢であり、興味深く読みました。 面白かったですが、全4巻と短く、もう少し金太郎の活躍を見たかったですね。 これから軌道に乗るという時にフラッと去ってゆく、それが金太郎らしいといえばそうなのですが、読むとあっという間という感じがします。 ラストはまた更に続編に続く終わり方になっています。 マネーウォーズ編は全4巻ですが、サラリーマン金太郎は続編に続くので、引き続いて金太郎の活躍を追っていきたいと思います。

by うにたべたい (528)

サラリーマン金太郎シリーズ4作目。 前作の"新サラリーマン金太郎"ラストで、怪童社立て直しの後、警察に連行され社長を退陣しました。 本作も引き続き金太郎の活躍が描かれますが、過去シリーズ同様、前作までのエピソードは一旦クリアにした新シリーズとなります。 タイトルの通り、50歳になった金太郎が主役です。 いろんな業界に殴り込み、八面六臂の活躍をして去っていく金太郎ですが、本作では一貫して電力会社の話となっています。 連載された2015年、2016年は東日本大震災から4,5年後、東北は奇跡の復興を行っている最中、福島第一原発も廃炉に向けて作業が続けられているところです。 復興に目を向けている状況下で、皆が忘れたい原発の廃炉作業を描いた作品で、これまで以上に社会に訴えかける内容だと思います。 3年の放浪の後、日本に帰ってきた金太郎は、中村加代の口添えで、電力会社の平社員として入社することになる。 同時期、秋田六区で当選した代議士「伊達三郎」が登院します。 両者同じく暴走族上がりの二人はやがて手を組み、金太郎は電力会社側から、伊達は政治側から、原発問題に取り組むという内容です。 電力会社内部の腐敗、政治家との癒着を批判し、目隠しされた目前に迫っている危機を詳らかにして、できうる対処を誠実に行う展開です。 過去にも、マネーウォーズでは投資の、出版業界立て直しの際にはIT関連の専門分野での情報が突破口となっていましたが、本作でも原子力発電所がメルトダウンするとはどういうことなのか、専門的な用語が飛び交います。 例によってすべて理解することができませんでしたが、作品を書く上で作者がどれだけ丁寧に取材してきたかが内容が伝わってきました。 読む人が読めば粗もあるのだろうと思いますが、知識を持たない私的には、行動に説得力を感じました。 ただ、本作は政治批判、電力会社批判の臭いが強く、作者の主張を感じます。 何が正しいかはさておき、本作で描かれていることは一つの考えであり、公平な目で読む必要があると思います。 また、過去作でもそうでしたが、本作でも最後まで解決を見届けることなく、金太郎は去ってゆきます。 道標はできており、これから先はもう安心であるというところまで描けているので、中途半端に終わっているというわけでは無いのですが、賛否は出ると思います。 個人的にはもう少し長く続けて欲しいと感じましたが、だらだら続けて駄作にするよりかは、ここまで描ければいいというところでピリオドを打つのも一つかと思いました。

by うにたべたい (528)
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