唯一無比の民俗学(フォークロリスティクス)ホラー! 1994年に講談社のアフタヌーン誌にて発表された小川幸辰の『エンブリヲ』は、虫とヒトとの共生を主題とした"生物學(バイオロジカル)ホラー"として人気を得、2008年には出版社を代えてエンターブレインより復刻版が刊行。新しい世代のファンを獲得し、その色あせない魅力が再び評価された。 小川幸辰は、その徹底的にリアリズム的な筆致によって、紙の上に現実を描き上げ、そしてミステリ・オカルト的な幻想との融和を果たすことに成功している。 今回の作品は出版社から「『エンブリヲ』の精神的な続編の執筆」を依頼されたことにより企画された。千葉県・印旛沼周辺の河童伝説を題材とし、実際には生息していないはずのもの、しかし多くの報告が寄せられるものを漫画で描き上げることにした。 物語は3話から構成される。第1話&2話は80ページ強。しかし第3話は186ページとなった! この重厚かつ真摯な作品は、一度雑誌に連載されてからまとめるのではなく、直接、単行本描き下ろし作品として発表されることになる。 舞台は東京都心と国際空港を結ぶ土地に拓かれた"万葉ニュータウン"。照葉樹の暗い森に包まれたこの街で連続失踪事件が起こった。犯人の特徴は、全身をうろこでおおった、まるで獣のような……。 唯一無比の民俗学(フォークロリスティクス)ホラーとして、小川幸辰による共生の物語が、ふたたび刊行!
「灯のことは、オレが守ってやる」 *** 薄井灯(うすいあかり)は名前のとおり幸薄い女の子。 両親を亡くし、借金を抱えながら会計事務所で働いている。 一方、悪蛇組(わるだくみ)の若頭・スミレは、 危篤状態の組長に「所帯を持てば跡目を継がせてやる」と言われ、 嫁のフリをさせるため知り合いの女・蝶子(ちょうこ)を呼びにやるが、 手違いで灯が連れてこられてしまう。 交差するはずのない二人の人生だったが、 お互いのことをちょっぴり「カッコイイ! 」「可愛い! 」と 思ってしまったのが運のツキ!? スミレは灯を“姐さん"として、祝言を挙げることに…! 「今日だけはオレの女になってくれ、灯」 「スミレさんを感じたい…もっと気持ちよくしてほしい…」 一夜限りの芝居のはずが、 灯はそのまま悪蛇組の“姐さん"を続けるハメになってしまい!? 「ダメなのに、スミレさんのこと好きになっちゃう――」 *** 天涯孤独な女の子とヤクザの若頭。 出会うことのない二人の世界…のはずが!? 人違いから交差する運命、身代わり結婚、そして初恋…。 幸せに慣れていない女の子が心の芯まで愛される、胸きゅんラブストーリー!
蘭学医・手塚良仙(てづか・りょうせん)の息子良庵(りょうあん)と府中藩士の伊武谷万二郎(いぶや・まんじろう)は、美女・おせきを巡り犬猿の仲だった。そんな最中、良庵は適塾で蘭学を学ぶため、大坂へ旅立った。万二郎は、江戸を襲った大地震で、民衆を安全な場所へ誘導するという大手柄を立てる。一方、良仙は奥医師たちの激しい妨害の中、娘婿の大槻俊斎(おおつき・しゅんさい)らとともに種痘所の江戸設立に向け頑張っていた。幕末に実在した著者の曽祖父をモデルにする長編時代作品。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT326~327『陽だまりの樹』第1~2巻収録 <初出掲載>1981年4月25日号~1986年12月25日号 ビッグコミック連載