いろんなタイプのホラーが詰まったオムニバス。 各エピソードはガッツリ怖いです。ぐいぐい読ませる。 また構造的に面白いのが、「タイトルと実際の百物語、主人公の年齢と家庭環境」のギャップです。 記録によると百物語は「100個目を話してしまうと、怪異に見舞われるため99個まで語って朝を待つ」のが正式なやり方とされています。 しかし、本作一話目で「全部終わった時に本物の幽霊が出るんだって」と主人公が話しています。 さらに、毎話の始まりと終わりに挟まれるカットで、どうやら主人公の家庭環境が普通じゃないことがわかってきます。 ここでメタ的に、いくつか結末が予想できます。 ① 本作は全十巻・全百話で構成されている? ②-1 100話目を話してしまって、怪異に見舞われて死んでしまう?(タイトル回収) ②-2 99話を話し終えて、最後の百話目で「家庭環境がもたらす災厄」で死んでしまう?(ある意味タイトル回収) 怪談を一つ語るたびに少しずつ主人公の家庭環境について話が進みますが、それが②-2の結末につながる終え方もあるので読者は読んでいる間ずっと気が抜けないんですね。 また本作をより怖く感じるのに一役買っているのが、 「主人公が小学校低学年という年齢上、客観的事実、いわゆる神の視点で見えるものが正しいかどうかがわからない」という部分です。 主人公の自室から聞こえる情報だけで想像するしかないのですが、ここがそもそもボヤけているのがより怖くしているポイント。 とても面白い作品です。最後まで追いかけたいと思います。
by せーふぁ (1046)尾上龍三郎、10歳。料理、洗濯、なんでもできるしっかり者の小学生。高台にある大きな家に、元女優の美人なママと2人暮らし。お嬢様育ちでわがままなママは贅沢が大好き。でも家にはお金がなく、ママは家の骨董品を売っては贅沢を。そして龍三郎がガールフレンドのリエちゃんからのあずかりものの指輪まで、骨董屋に売ってしまう始末。龍三郎はあわてて取り戻そうとするが、時すでに遅し。腹を立てる龍三郎にママは一言「盗めばいいんじゃない」とドロボウ宣言!不器用なママにはまかせられないと、龍三郎も盗みにいくのだが…!?●収録作品ボクが泥棒になった理由/パパが泥棒になった理由/ボクが王様になった理由/ボクが幽霊になった理由