ゼロサム増刊・季刊WARDで大人気連載のエビアンワンダーREACTの前身、エビアンワンダーが登場!おがきちかファン必携のシリーズ!
テレクラのサクラをしながらスパイ修行をする少女、林二湖(ニコ)。コードネームは「セクシーボイス」。偶然出会った、謎の「おじいさん」からの依頼を受け、さえない相棒ロボを手足に使って次々と事件を解決していく。14歳の女の子ならではの軽やかさと大胆さが、すがすがしい読後感をもたらしてくれる。2002年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作品。第1巻では1話で1つの事件を解決する、1話完結式の構成だが、第2巻では、裏社会に深く足を踏み入れてゆくニコの姿が描かれ、ゆるやかに物語全体が進行していく。 <p> 「今救えるのは、宇宙で私だけ」(1巻)、「意志でなく、才能が行く道を選ぶ。/そういうことがあると思うのよ」(2巻)。こんなほれぼれするようなキメゼリフと黒田独特の構図が、冴えまくる。登場人物のそばにぴたりとはりついて描いているかのような構図と思い切りひいて描いた構図が突然切り替わり、心地よいめまいをもたらしてくれる。 <p> セリフまわしや「スパイもの」という設定のせいで、全体の印象はどこかクラシカル。だが、ニコのキャラクターやディテールの作りこみ、事件ごとの設定には、いまどきの風俗を巧みに取り入れており、そのバランスの取り方がなんともにくい。 <p> 黒田作品というと、玄人好みであるとか難解であるとか評されることもしばしばであったが、本作は誰が読んでもきっちりと楽しめるエンターテイメントとしても、極上の仕上がりになっている。(門倉紫麻)
「私が転校することになったのは…えっと実家で兄が座敷牢に入っているからです」。かつて二匹の化け物が住んでいた伝説が残る常伊市。天賀井悠子が転校してきた理由は、今も座敷牢に入る兄のため十年前に起きた撲殺事件の真相を究明するためだった。事件には二匹の化け物の遺物が関与しており、思いもがけぬ偶然から真木正輝という少年の協力を得ることになった。