泣ける

 押見作品は屈折した人間模様を描いたものが多く、特に本作は非常に暴力性・残虐性が強いので人を選びます。それさえ抵抗が無ければオススメの漫画ですね。抽象的な表現が多かったり、スッキリしない終わり方をする押見先生の著作の中では、比較的ストーリーが掴みやすい作品なので。 「吸血鬼」という非常識な存在に突然巻き込まれることになった人々が人生を狂わされていくという内容で、一応主人公はいますが群像劇のように視点が変わります。前半は奈緒、後半は雪子の悲惨な展開に心が痛みましたが、最後は何となく幸せなかたちに収まって心動かされました。特に雪子は本当に純粋で可愛らしく、好きなキャラクターだったので、年老いても出会った頃のように「・・・っす」と誠に声をかける場面は切なくて堪りませんでした。他にもずっと誠が帰ってくるのを待つ母の姿など、最終巻は涙腺崩壊するシーンで一杯です。  謎だったノラについても最後の最後で語られ、全てが判明したわけではありませんが、納得のいく説明があって良かったです。思えばこの本作の登場人物たちは、過去に失った人に囚われ、似ている誰かに重ね合わせていた者が多かったですね。ずっと追ってきた読者として大満足の結末でした。

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