名作の気配

のりお先生がまともな漫画を書いている…!と言うと語弊がありますが、名作変態ギャグ漫画みつどもえの次に売ってくる一手がこれとは…驚かれたファンの方も多いのではないでしょうか。それほどピュアで力強い豪速球です。後書きによるとこの作品は距離・変化・気づきがテーマだそうです。その言葉通り京太郎が山田のことを好感度マイナス状態から徐々に好きになっていく過程がじっくりとそれでいてテンポ良く描かれています。またラブコメ主人公にありがちな主体性ゼロの徹底的な無個性or全方位型のスケべとは一線を画した京太郎のキャラクターは目が離せない危うさでヤバイ。最初は狂気という意味でのヤバイと思っていたけど巻を重ねていくほど別のヤバイ側面も見えてきて可愛く感じられてきます。また後書きに「初恋にはタイムラグがある」という至言があるのですがこれを体現するかの如く様々な仕掛けや伏線が張り巡らされててヤバイです。後から大事なことに気づく…まるでミステリーのようだ。なんとなく読んでると見落としてしまいそうな…あの時の感情はひょっとして恋というやつだったのか?という。山田も京太郎も感情の機微や仕草がかなり些細な部分まで描かれているので一読だけでは私の読解力が足りず所々で「え?どういうこと?」と理解が追いつかない部分があるのですが(それでも面白く読めてしまうところがまたすごい)、twitter等で熱心なファンの方の一コマ一コマ細部に至る考察・解説を見て「そういう事だったのか〜!」と唸らされることが多々あります。謎掛けにたいする答え合わせの楽しさと、それになんだか市川が味わった感情のタイムラグを追体験してるような気持ちになれますwこれはちょっと他の漫画では得難い経験でした。読者と先生のガチ頭脳戦も楽しみの一つです。先生と考察班の方々に改めてお礼申し上げます。先生のTwitterでは僕ヤバの短編エピソード通称ツイヤバもアップされることがあるので、そちらをチェックされると前述の頭脳戦も含め作品をより深く楽しめること請け合いではないかと思います。

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