眉月じゅんさんの作品の書影

眉月じゅん

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1,276

4.1

10巻まで読みました

このレビューにはネタバレを含みます。

45歳のファミレスチェーン店の店長「近藤正己」と、彼に恋をしてしまった女子高生「橘あきら」の話。
近藤は頭にストレス性のハゲがあり、愛煙家で決して尊敬されない典型的な冴えないおじさん、一方、橘あきらは長身でスレンダーなボディーを持つ容姿の整ったクールな女子高生で、女子高生好きの変態中年であればこれ幸いと不道徳的な交際が始まるのでしょうけど、近藤は極めて常識的な倫理観を持っており、年齢差からあきらを恋愛対象として見ることができない。
そんな二人のドラマを描いたものになっていて、各々の想いと胸のもやもやが少しずつ解きほぐされてゆくストーリー漫画となっています。
全10巻と長くなく短くない巻数となっていて、最終回でこの恋の決着がつきます。
サブキャラクターの話や、幕真の回も挟まりますが、基本的に一本道で、いつしか始まって終わるべくして終わる物語となっています。

なお、本作のラストは各所で言われている通り物議を醸すもので、否定的な意見が目立つものになっています。
私的にはこの終わり方はあるべき姿だったと思うのですが、感想を書く上でそのラストに触れないわけには行かないため、「ネタバレあり」で書かせていただきます。

ラストは、端的にいうと両想いとなりながら近藤はあきらを振る結果となります。
近藤は自分の中に芽生え始めるあきらへの想いを恋心と認め、言い訳ができなくなってしまう。
元日、あきらは近藤の家を訪れる。やがて暗くなる風景、家まで来るまで送ると提案する近藤だが、離れがたい気持ちになり一緒に初詣に行くことを提案する。無邪気に喜ぶあきら。
初詣が終わり、あきらは近藤の家に戻ろうと言うが、「あの部屋に戻っても、できることは何もない」と伝える近藤。
二人の関係はこれで終わりとなります。

付き合うことはできないと伝えるわけではない、はっきりとしない曖昧な終わり方となっています。
あきらも落涙するわけでもなく、きっぱりと引き下がり、次のシーンでは笑顔で陸上に打ち込む姿が描かれています。
情熱的だったあきらのアプローチもなかったかのような展開にあっけに取れられるラストとなっていたことは否めなかったです。
ただ、近藤は想いを抱えながらも一度も手を出さずに、相手のことを真剣に考えた結果その言葉になったわけで、とても真摯な終わり方だったと私的には思います。

近藤の回答はあきらの「好き」に対するそれではなく、雨はもう止んでいるから、この傘は閉じて青空に駆けてゆけばいいと告げており、婉曲表現ではありますが、あきらにとってそれは一番必要な言葉なんだと感じました。
きれいで、素敵な話だと思いますが、曖昧ではっきりしない、徒然とした物語のため、そういう話は苦手な方にはおすすめできません。
また、おっさんとJKと聞いて即座にエロスを妄想する方にもおすすめできません。残念ながら。

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